交響曲第10番第1楽章(バリー・クーパー博士による)
ベートーヴェンの交響曲のCDは9番まで、と固く信じていた私を、CDショップのクラシックコーナーで仰天させたのがこの1枚。
『日本たばこカルチャードキュメンタリー
TVムック謎学の旅スペシャル
バリー・クーパー博士による
ベートーヴェン第十交響曲第一楽章
指揮:バリー・クーパー 演奏:読売日本交響楽団
(株式会社バップ)』
でも、“バリー・クーパー博士による”とあるので、正確にはベートーヴェンの作品じゃないんですが(^_^;)
買ったのは高校生の頃でした。
バリー・クーパー博士は音楽学者です。解説書によると、専門の作曲家ではないとのこと。だからなのか、初めてこの曲を聴いたときは、正直物足りなさを感じました。
だけど、学者先生の屁理屈・・・もとい、研究に基づく理論の展開が解る作品です。
聴き込んでいくと、『悲愴』の第2楽章を思わせ、『第九』の第1楽章のようにも思え、『運命』の第3楽章っぽくも感じられ、『コリオラン』のようでもあり、・・・と、なんとなーくベートーヴェンのオリジナル曲からあちこち引っ張ってきてるな、ってのが判ります。
このMuseには、クラシックに詳しい人たちが集まっているんで、このCDを持ってらっしゃる方もいらっしゃるのではないかとちょっと期待しております。
今、店頭に並んでるのかなあ・・・。ネットで手に入るかもしれませんね。
作成日:01/06 12:39 最終更新日:01/10 19:12
7件のコメント
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2007年01月07日 06時03分31秒
Shigeru Kan-noさん
コメントいただき、どうもありがとうございます。
>この曲はハ短調で導入部が変ホ長調でしたっけ?
ごめんなさい、導入部がどこかもわからないんですが(泣)、解説書には、序奏が変ホ長調で、提示部の第一主題がハ短調と書いてあります。
(導入部ってイントロのことですか?)
その後、経過句(ハ短調→変ホ長調)、第二主題他(ト短調)と続き、展開部・移行部がハ短調、そして再現部・第一主題(ハ短調)・・・と続いています。
(曲の流れを言葉にすると、こんなにもややこしいんですね!)
拍子も、序奏は2/4から始まって、提示部の第一主題は6/8→4/4、経過句でまた6/8拍子に戻り、第二主題他まで同じ調子だけど、展開部・移行部で4/4拍子になってます。指揮者って忙しいんですね。
ただ、菅野さんが以前、感情だけでは鳴らない、というようなお話をされていた意味がなんとなくわかったような気がします。
建物を建てる為の数値計算結果を見ているような感覚になりました。む、難しいです・・・。
2007年01月07日 13時48分36秒
(つづきです)
>復元はその個人様式と時代様式を含むため非常に難しい作業です。
「様式」と、菅野さんが以前仰られていた「形式」は違うんですか?
去年、菅野さんの掲示板でお伺いした「曲の数だけ形式は生まれる」という内容のお話を思い出したのですが、ベートーヴェンも曲の数だけ形式を生み出したのでしょうか。(すみません、頭の中が混乱してます)
「形式」が集まったものが「様式」?いや、違いますよね・・・。教えていただけないでしょうか。
>モーツァルトのレクイエムやハ短調ミサがあり、最近のロバート・レヴィン版が話題です。
ジュスマイヤーの後にも補筆された方がいらっしゃったんですね!
>未完成交響曲やフーガの技法の完成版もありますが音楽的に完成できた人はいないようです。
菅野さん。「未完成交響曲」ってやっぱり未完成なんですか?おかしなタイトルだなあとずっと疑問に思っていたんです。
それと、クラシックの曲って、もしかして未完成の曲が結構あるのでしょうか。
現代までずっと補筆が続いてるのかなあと思いまして・・・。
2007年01月07日 14時55分48秒
変ホ長調−ハ短調は新聞か何かの情報を元にしたもので、僕も余りBeethovenの10番はきいた事はありません。良くBrahmsの一番がベト10って言われるでしょう?
ベト10はハ短調であるべきであるわけがわかりますね。
「様式」とは形式も入ります。でもそれだけじゃないです。独特の和声学・旋律法・伴奏法・展開法・変奏法・構成法・楽器法・管弦楽法などなどもろもろの要素がくわわってきますので本当は到底真似しきれる物じゃないのです。更に時代様式が入ってきます。私たちは普通嫌でもちまたでいろいろな音楽:演歌・ジャズ・ロック・コマーシャル・飛行機の音・電子音・12音などを聞いてくらしています。それが微妙に音楽にも反映するのですね。ところがBeethovenはこれらのどの一つの音も聞いた事がありません。だからああいう音になるのです。
クラシックの音楽は未完成が多いのが特徴です。Bach・Mozart・Beethoven・Schubert・Mendelssohon・Schumann・Bruckner・Mahler・Pucchini・Schoenberg・Webern・Berg・Shostakovichなどなどきりがないです。中でもその王者はSchubertです。Sy.は勿論、ピアノソナタやSQもたくさんあります。
2007年01月07日 19時26分58秒
「様式」と「形式」について詳しく教えていただいて、どうもありがとうございました。
音楽の世界って、たくさんの要素で構成されているんですね。驚きました。
ところで、「12音」とは何でしょうか。教えてください。
>・・・ところがBeethovenはこれらのどの一つの音も聞いた事がありません。
なるほど。よくわかりました。
当時は電話もラジオもTVもなかったんですものね。今じゃ絶対考えられない。
>クラシックの音楽は未完成が多いのが特徴です。
そんなにいっぱいいるんですか!というか、殆どなのでは・・・。
2007年01月08日 14時42分34秒
Schoenbergが始めたとされる十二音音楽です。無調音楽ですね。100年後の話ですが、又Beethovenはその後の微分音音楽も知らないし、偶然性も、不確定性も、非音楽という「音楽」も知らない:あたりまえですねえ。
一見完成してるように見えても未完成の音楽もあります。ワーグナーの「タンホイザー」、メンデルスゾーンの「第4交響曲」などです。
2007年01月08日 19時38分58秒
>Schoenbergが始めたとされる十二音音楽です。無調音楽ですね。
「無調」って、調和がないという意味ですか?
シェーンベルクの曲を1度聴いた時に、そう感じた記憶があるものですから。
私の耳にはかなり新しく感じました。
>一見完成してるように見えても未完成の音楽もあります。
そうなんですか!それって楽譜の話なんでしょうか・・・?
私のように、何気なく聴いてても、実はまだ未完成の曲だった、というのもあるのでしょうか?それはないかな(笑)
音楽の世界って本当に面白いですね。おかげで、曲を聴く楽しみが増えました。
2007年01月10日 19時12分00秒
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この曲はハ短調で導入部が変ホ長調でしたっけ?
復元はその個人様式と時代様式を含むため非常に難しい作業です。Brucknerの9番やMahlerの10番がポピュラーですが。有名どころではモーツァルトのレクイエムやハ短調ミサがあり、最近のロバート・レヴィン版が話題です。Schubertでは第7番ホ長調やグルムンデン・ガシュタイン交響曲ホ長調・レンダリング交響曲ですね。未完成交響曲やフーガの技法の完成版もありますが音楽的に完成できた人はいないようです。ボロディンの第三番もグラズノフの補筆です。オペラでは最近ではトゥーランドットのベリオ補筆版があります。原稿版よりプッチーニのスケッチに忠実に従った最後がピアニッシモで終る版です。オペラ「ルル」のツェルハ完成版も有名ですね。アイヴスの4番は完成させたというより様々な解釈版といって良いでしょう。