はかせさんのブログ(日記)〜クラシック音楽の総合コミュニティサイト Muse〜

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白木

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 プロフィールの写真は今の愛器のニスを塗る前の写真だ。白木の状態とでもいうか。このように弦を張って弾ける状態にすると、そのままではニスが塗れない。指板(弦の下の黒い板)の下の部分の表板に筆が入らなくなる。カエデでできているネックに黒檀でできた指板をニカワで接着するが、ニスを塗る前にこの接着部をはがさなければならない。それで、白木で弾こうと思わない製作者はここを接着する前にニスを塗り、塗り終わってから指板を接着する。製作者によっては白木で弾いたときの感触によっては少し外から板を削ったりもするらしい。
 私はニスを塗る前の音に興味があったので、いったん軽く指板を接着して組み立てて弾いた。そのときの写真である。この状態で1ヶ月くらい弾いていた。合奏に持って行くとみな、ぎょっとした顔をするのがおかしい。
 白木だと、音は弱く柔らかい。フカフカして表面が毛羽立って柔らかい感じだ。調弦はすぐに狂う。手垢も付く。でも、結局楽器のキャラクタはこのときすでにあったのだな、と後から思う。あるヴァイオリンを弾く女の子は、それまでの楽器に比べて「ケバイ」と言ったが、確かにそれまでの真面目で地味な楽器(製作者からしてそうだ)に比べて私の楽器はケバイといえる。
 プラモデルは組み立てる前に塗装する場所もあるが、接着面の塗装ははがす。そうしないと接着剤が効かないのだ。弦楽器を組み立てるときに使うニカワという接着剤も、木に浸透することが必要なので、ニスを塗ると効かない。それで、指板以外は接着してからニスを塗る。ネックと指板の接着面にニスが入ると接着力が弱くなるので、ネックの接着面に余った薄板を軽く貼っておき、この面を保護してニスを塗る。
 ネックを本体に取り付け、指板をネックに仮に接着すると、楽器製作はほぼ終了だ。白木で弾くために糸巻きを入れ、エンドピンを装着し、魂柱を中にはめ込み、駒ができあがると、テールピースを着け、弦を張っていく。このときは恐怖心がある。ネックが倒れるんじゃないか、表板が割れるんじゃないかという心配を打ち消すことは難しい。糸巻きを回し、弦をはじいて音を出す。これが産声のようなもの。そして、弓をとり調弦し、弾き始める。嬉しい瞬間だ。

 チェロ


日付:2007年06月04日

2件のコメント

  1

このブログ(日記)へのコメント

はかせさんのブログ、おもしろいです♪
私、実家(親戚一同!)は「木」を扱う商売をしているので、子供の頃から木に囲まれて育ちました。父が作業してるのを、じーーーーーーーーっと見てるのが大好きでした。なんか、そんなことを思い出しました〜。
はかせさんのチェロ、ほんとに「愛器」って感じですよね。いいなぁ。

2007年06月04日 20時27分37秒

はかせ

うらやましい環境です。そういう家に生まれたかった。

2007年06月04日 21時37分02秒

2件のコメント

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