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バッハの無伴奏チェロ組曲の第5番は大好きなハ短調だ。そのプレリュードは重々しいフランス風序曲で始まる名曲だ。バッハはこの曲を普通じゃない調弦で弾くように指示している。通常は下からCGDAに調弦するのに、A線をGに落とせというのだ。
私がチェロを始めた頃、だれもそんな調弦で弾く人はいなかったが、今では古楽器奏者を中心にこの調弦で弾く人がちらほらいる。2年ほど前、鈴木秀美さんに、この曲を普通の調弦で弾くことはバッハに対する反逆だ、と言われ、普通じゃない調弦で練習を始めた。
Peters の楽譜は2段になっていて、片方が実音で、他方は変則調弦用の奏法譜だ。A線をGに落として調弦し、普通の調弦だと思って楽譜に従って弾くと、正しい音が出る。つまり、A線(Gに調弦してあるので一番線というべきか)で弾く音だけ、長2度高く書かれている。
このプレリュードは全く休符が無く4ページある。絶対にめくれないのでまず楽譜を作る。楽譜をスキャナでphotoshopに取り込み、実音の部分を消し、奏法譜だけにして2ページに収まるように楽譜を作った。ついでに、アーティキュレーション(弓を返す場所の指示、スラー)だの強弱記号だのを全部消す。ベーレンライターの原典版はこう弾けという決定版は無く、伝わっている何種類かの資料のファクシミリとそれを忠実に楽譜化したものがごそっと入っていて、どれを採用するかは自分で決めろ、というものである。それでだいたい、アンナ・マグナレーナ(バッハの2度目の奥さんだ)の写譜に従って、音程は決めた。Petersの音程は全部これと一致していた。ベーレンライターの注釈によると、アンナ・マグナレーナのスラーは全く信用できないそうだ。3人の先生にレッスンしてもらったがそのたびにアーティキュレーションなしのプリントアウトを持って行き、それぞれの先生の意見を書き込み、比較検討し、自分のアーティキュレーションを決めた。
鈴木秀美さんは、変則調弦でないと絶対に弾けない重音が1カ所あるので、普通の調弦で弾いてはならないと強調していたけれど、それは一瞬のこと。バッハがこの調弦を指定したのはそれだけの理由ではない。響きがかなり違うのだ。調弦が下からCGDGになっていて上3本の開放弦で弾けるGDGの和音がよく響く。倍音も美しい。とても気に入って練習した。
これを弾くと楽譜に書かれている音と、出てくる音が違うので、絶対音感を持っている私としてはかなり混乱する。それでも2ヶ月ほどでだいたい暗譜したのだが、弾いている最中にふと疑問を持つともうだめだ。プレリュードだけ、2回、人前で弾いたが、せっかくの暗譜を忘れてしまうのがしゃくなので、時々弾いて忘れないように心がけている。
バッハは弦楽器の響き方を良く知っていたのだと実感する経験だった。モーツァルトのシンフォニー・コンチェルタンテ(Vn, Vaのソロ+オーケストラ)は変ホ長調だが、ソロ・ヴィオラは4本の弦をすべて半音上げて調弦し、半音低いニ長調の楽譜で弾くのが、オリジナルだそうだ。絶対にこっちの方が鳴ると思うのに、みんな普通に調弦して弾いている。息子には、お父さんの楽器は頑丈だから、変則調弦で練習しておくように勧めているのだが。
チェロ ヴィオラ(ビオラ)