はかせさんのブログ（日記）〜クラシック音楽の総合コミュニティサイト Muse〜

　洋カンナを初めて見たとき、同じ用途があると、同じようなものを作るものだな、とも、こうも違うものを作るか？とも思った。鉄でできているしあちこちに調節用のねじがあって大仰なものだ。
　洋カンナは押して使うし、これを押す力は主に手のひら、特に小指球であり、親指と中指、薬指、小指で方向を決め、人差し指は遊んでいる。和カンナは引いて使うし、親指、人差し指の指先が当たる。どうも西洋の道具は手の薬指、小指側、そして手のひらを、日本の道具は親指、人差し指側の、特に指先を使うようにできている。ノコギリも西洋ノコギリは押す時に切れて、小指側の手のひらで押す。
　自転車のブレーキも、薬指、中指あたりでかけているし、テニスでも（今は知らないけれど私が習った３０年前は）、小指側でラケットを持つように習った。卓球も、西洋人はテニスに似たシェイクハンドグリップが多く、日本人は親指と人差し指に依存するペングリップが主流だった。イギリス人とつきあっていても、実験器具の取り扱いの指の使い方がひどく変なのは結局、彼らはあまり親指、人差し指を日本人ほどに使わないからだ。

　どっちが良いとも思わないが、ピアノを弾くときは彼らの方が自然だ。左手の小指側で弾くバスラインと、右手の小指側で弾くメロディというパターンが多いが、小指が強い西洋人なら、これが自然に出て来る。日本人が普通に弾くと、バスラインとメロディが弱くなり、親指側で弾く内声がうるさい。
　チェロの弓使いでも、日本人の初心者は、親指が支点、人差し指が力点、弓の毛と弦が当たる所が作用点、という感じで弓を回すようにして圧力をかける人が多い。これは親指と人差し指の間の筋肉（背側骨間筋）に負担をかけ、ここがすぐに痛くなる。演奏中決して人差し指を弓から離せない。ゲリンガスなんかを見ていると、しばしば右手の人差し指が弓から離れていて、人差し指だけが重要ではないことが見て取れる。
　なぜ、西洋人が小指側優勢、日本人は親指側優勢になったかは、ずいぶん考えているのだが（箸のせいか？）わからない。結局彼らの作り出した西洋音楽というものは彼らの肉体とよくマッチしているのだ。

　チェロ　ピアノ