はかせさんのブログ(日記)〜クラシック音楽の総合コミュニティサイト Muse〜

Museでクラシック音楽を通じて素敵な出会いを

Password


次回から自動的にログインする。

« 200707月 »

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

17

18

19

20

21

22

23

24

25

26

27

28

29

30

31

月別ブログ(日記)一覧

ピアニストのための室内楽入門

前の日記(ブログ)                         次の日記(ブログ)

 APA(アマチュア演奏家協会)という非営利の全国組織がある。盛んな地方では、しょっちゅう例会があって、世話人がいろいろ合奏をアレンジしたりしてくれる。世話人をやっているチェロの友人が、室内楽を始めたいというピアニストの要望が多いので、ヴァイオリンとチェロに声をかけて、ピアニストのためのトリオの会を企画したことがあった。この試みは1回きりで終わりになった。弦のプレーヤーが全員、「二度とやらない!」と言ったのだ。
 私も頼まれたのだが、学生時代から何度も辛い経験をしてきて、どうせそうなることは分かっていたので、最初から断った。

 これから弦楽器と室内楽をやってみようというピアニストのために、アドヴァイスを。

・くれぐれも失礼の無いように

 室内楽に手を出そうというピアニストは腕におぼえがある。音楽大学のピアノ科を出ているくらいは当たり前。一方、音楽大学を弦楽器専攻で卒業していて、アマチュアとして室内楽を楽しんでいる人はまれだ。ということは多くの場合、音楽大学出身のピアニストが、普通の大学を卒業している弦楽器プレーヤーと合奏するわけだ。
 いざ合奏が始まると、音程は合わない、カウントはミスする、しばしばテンポもずれ、勝手に遅くなったり速くなったりする。ピアニストは困惑し、なんて下手なんだろうと思うだろうし、自分の方が音楽上優位にあると確信する。ところが、この下手な弦のプレーヤーが偉そうに、あなたのピアノに対してけちをつけてくる。当然あなたは面白くないから、相手の弾き方の間違っていることを指摘するだろう。すると、弦のプレーヤーは顔を真っ赤にして怒り、楽器をケースにしまって出て行き、二度と戻ってこない。

 弦楽器プレーヤーがピアニストほど上手くないのは我慢してもらわなければならない。人数が全然違うのだ。室内楽で使えるヴァイオリニストの数は音楽大学を卒業しているピアニストの数の100分の1以下だろうし(もっと少ないような気もする)、チェリストはヴァイオリンの半分以下だろう。ヴィオリストともなると滅多にいない。
 管楽器の場合、オーケストラでも一人1パートは当たり前で、自力で長い休符でもカウントするし、自分のソロで責任を全うするのに慣れているが、弦楽器プレーヤーは多くの場合、市民オーケストラの集団の中に埋没して生息しているので、一人1パートには慣れていない。弦のプレーヤーが室内楽に打って出るためには、自分の力でカウントし、責任を持って1パートを分担しなければならないのでハードルが高いのだ。
 ピアニストは常にスコアを見ながら弾くし、ほとんど休みの小節など無いので、カウントの問題は大したことがない。それで、弦楽器がカウントできないと「頭が悪いんじゃないの?」と思うらしい。やってみるとそうとうに難しいものなのだ。
 室内楽に堪能な弦のプレーヤーは、信頼できるピアニストを確保していてその人としか合奏しないか、ピアノの入った室内楽を拒否しているかのどちらかだろう。
 新規参入してくるピアニストの相手をしてくれる弦のプレーヤーの数は非常に限られているのだ。彼らは大して上手くなくても日頃からちやほやされるのに慣れている。そうとう下手に見えても我慢し、おだててつきあっていかなければならない。

 チェロ ピアノ 室内楽


日付:2007年07月18日

4件のコメント

  1

このブログ(日記)へのコメント

うーん、哀しい話ですねえ。

1項目のみ立てられているということは、続編があるのでしょうか。

2007年07月18日 16時17分31秒

はかせ

気が向けば、続編を書きます。

2007年07月18日 16時22分46秒

室内楽を希望するピアニストって、少ないのかと思っていましたが、そうではなくて、相手が見つからないだけなのですか‥。でもこの人数比って、室内楽をやりたいフルーティストも同じかも(T_T)
私の好きなピアニストさんは、ソロも伴奏も素晴らしいのですが、トリオは対等にできるから特に楽しいとおっしゃっていました。
今から行くハッチンスのマスタークラスとミニ・リサイタルは、伴奏がその人、華重子さんだし、楽しみです♪行って来ます!

2007年07月18日 16時43分46秒

XP太郎

この話しを読んで、15,6歳の少年クリスチャン・フェラスが青柳いずみ子の先生でもあった、年上のピエール・バルビゼとの一回限りの合奏で「音楽の創造の喜び」を知ったとかどうとか、という話を思い出しました。
 先日の大谷コンマスと田部京子さんのグリークのVnソナタ、素晴らしい!名手の組み合わせは月並みではありますが「名演」を生み出すのですね。

2007年07月18日 20時25分50秒

4件のコメント

  1


登録して素敵な出会いを見つけよう!

Museカテゴリー

フリーワード検索

新規ブログ(日記)

演奏会に
行った。

期日:3月8日会場:大阪フェ・・・(平行五度好きさん)


ディスカ
バリーコ
ンサート

ディスカバリー 発見、初出演・・・(Nobue Kanekawaさん)


『バラ図
譜』刊行
200年 「
・・・

シャルルさんは、薔薇が好きだ・・・(小原 なお美さん)


新規会員

Ito_orc
さん

ピアノ20年ほど習ってました・・・


ミルキー
さん

自分では楽器は演奏でません。・・・


ユウさん
はじめましてユウです。ピアノ・・・


公開マイスペース

【来日4
0周年記
念】ミシ
ェル・・・

現代フランスを代表する巨匠ピ・・・(Ito_orcさん)


シャルル
さんのお
墓参り

 令和5年2月20日にシャル・・・(歌の翼さん)


アトリエ
アルファ

横浜にある木管楽器専門店です・・・(星のジュウザさん)