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・弦楽器は平均律に慣れていない
ピアニストから見ると、弦のプレーヤーの基本的音楽能力がずいぶん低く見えるだろうと思う。その理由の最たるものが音程の悪さだ。音程が悪いのはもちろん、技術が低いという面がほとんどであることを認めるが、平均律の問題もあるのだ。
弦楽器は(たぶん、管楽器も歌手も)、物理的に調和した和音を本能的に求める。一人で弾いていても、開放弦とぴったり整数比の振動数の音程は振動が強化され、よく響くことが感じられ、それを頼りに音程を決めている。弦楽器同士の合奏だと、みんなで作り出す和音が気持ちよく調和するように、音程を探る癖がついている。また、旋律の進行の過程でも、この音はこの音へ向かう過程にあるから寄り添うとか、開くとか動かしている。弦楽器のプレーヤーは、同じミならミでも異なる音程を意図して出すことはざらにある。それを可能にするために、ヴァイオリン族の楽器にはギターのようなフレッドがないのだ。
そうなるとその音程は不幸にして、ピアノの平均律と一致しなくなる。
この譜例は takuya さんの7月12日のブログに掲載されていたのと同じ、ベートーヴェンのチェロソナタ第2番の序奏の部分だ。最初の小節からお見せしよう(Peters)。
takuya さんのブログで説明されているように、チェロは本来なら、4小節目3拍目の四分音符のhを高めに(次の小節冒頭のcに寄せたい)、5小節目最後の八分音符のcisも高めに取りたい(次の小節冒頭のdに寄せたい)のだ。ピアノの平均律に縛られることに慣れているチェリストなら、我慢して、ピアノの左手に合わせた音程で弾く。しかし、これが弦楽合奏曲だったら、本能的に高く弾くだろうし、この左手を担当する弦楽器奏者は、それに合った音程で弾くだろう。
まあ、そういう原因もあるので、単に技術が低くてピアノの音程と合わないだけではないことを知っておいて欲しい。そういうことに気付いたらなるべく優しく、低姿勢で、「ここはピアノも同じ音を弾いていますので、申し訳ないけれど、これに合わせていただけませんか」と言ってやってほしい。弦のプレーヤーはピアニストに音程のことを言われたくない!と思っている人が多いので言い方には細心の注意が必要だ。
また、takuya さんのブログに書かれているように、ここに出てくるチェロの音符の中で、平均律からはみ出して良い音符は、4小節目の最後の16分音符のhだけだ。次の小節の始まりのcに向かう導音なのでhは平均律より高めに取るだろう。
そのことをピアニストは知っていて欲しいのだ。これを知らないで、4小節目3拍目の和音を適当に長めに延ばされると、これのバスのhが残ってしまい、チェロが高めに取るこの小節最後の16分音符のhとぶつかる。すると、聴いた人は、あのチェロ、音程が悪い、と思うのだ。ここは絶対に譜割りより長くなってはならない。ピアノ譜だけ見ていると、4小節目と5小節目は、特に左手の動きは似ているので、つい、ずぼらに左手を同じように延ばして弾きがちになる危険がある。
最後に、良い本を教えていただき、興味深い話題を提供してくださった takuya さんにお礼を申し上げます。
チェロ ピアノ