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上の息子が中学3年生でヴィオラに転向したとき、私が生涯最高のヴィオリストを手にしていることに気付いた話は以前(7月27日)に書いた。この時から息子が高校2年の途中くらいまでの二年間、長年の夢だった弦楽四重奏を次々に演奏した。
・ベートーヴェン弦楽四重奏曲第9番ハ長調op.59-3「ラズモフスキー3番」
・ベートーヴェン弦楽四重奏曲第10番変ホ長調op.74「ハープ」
・ベートーヴェン弦楽四重奏曲第7番ト長調op.59-1「ラズモフスキー1番」
・モーツァルト弦楽四重奏曲第21番ニ長調kv575「プロシア王第1番」
・ブラームス弦楽四重奏曲第2番イ短調op.51-2
ここまでは演奏会で全楽章弾いたもの。非公開で終わったのが次の2曲。
・ベートーヴェン弦楽四重奏曲第14番嬰ハ短調op.131
・ベートーヴェン弦楽四重奏曲第15番イ短調op.132
この順番は、私が弾きたかった順だ。選曲については皆、私のわがままをきいてくれた。良いカルテットというものは、組めているだけで奇跡のようなもので、いつ、駄目になるかわからない。何かのシリーズを1番から順番に、などと悠長なことは言っていられない。いま、弾きたい曲から順番に弾かなければという気持ちだった。
ここまで来た頃、息子は音楽大学受験を決意し、それまで一日30分だった練習時間が突如数時間になり、レッスン優先となった。カルテットの練習を約束しても、その日、レッスンが入ればキャンセルになってしまうので、この頃をもって、夢のカルテットは終わりになった。
それからちょっとして、先生の所属するオーケストラが海外公演となり、確実にその期間はレッスンがないことがわかったので、もう一曲カルテットを本番で弾けることになった。
この時、やり残したカルテットは何だろう?と自問して出てきた答えが、ハイドン弦楽四重奏曲第77番ハ長調「皇帝」だった。
私は、すべての作曲家の中でベートーヴェンが文句なしに好きだ。そして、すべての編成の中で弦楽四重奏が文句なしに好きだ。しかし、もっとも好きな弦楽四重奏曲は、ベートーヴェンではなくハイドンの「皇帝」だ。それなのに、なぜ、これまで弾かなかったかと言えば、この曲の演奏には弦楽四重奏団としての経験が特に必要だと思ったからだ。
ハイドンの素晴らしい弦楽四重奏(1781年のロシア四重奏曲だろうか)に刺激されてモーツァルトが、注文を受けたわけでもないのに自発的に、自分の音楽的高さを証明するために(モーツァルトが注文を受けずに作曲した曲は非常に希だと思う)、6曲の弦楽四重奏曲(ハイドンセット)を書きハイドンに献呈する。モーツァルトにしては珍しく、何度も推敲を繰り返したことが知られている。
ハイドンはこの6曲を非常に高く評価したのだが、この「皇帝」を含むハイドンのop.76の6曲は、ハイドンのモーツァルトへの返事だったのかもしれない。もう、モーツァルトは亡くなっていたけれど。
op.76はどれもモーツァルトの卓越した作曲技法はよく理解し、尊敬し、その影響を受けつつも、ハイドンの特長である整った感覚で統一されている。そして、その3曲目である「皇帝」は、ハイドンが作り出した、古典的な均整美の究極の作品だ。有名なドイツ国歌(もともとはたしか、オーストリア国家及び皇帝を讃える歌だったはず)による変奏曲の2楽章は、他の素晴らしい楽章から突出することなく、全楽章が良いバランスである。この曲が存在する以上、次に続いたベートーヴェンはハイドンとは別の世界を構築せざるを得なかったのだろう。ベートーヴェンにはどことなくアンチ・ハイドンという面がある。
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