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上の息子が、夏休みで帰ってきている。PMFの1ヶ月で疲れたらしく、一日9時間寝て、なおかつ、昼寝までしている。
この子がヴィオラに転向するまでは、息子二人がヴァイオリン、カミさんがヴィオラ、私がチェロで弦楽四重奏を組んでいたが、今では、下の息子がヴァイオリン、上の子がヴィオラ、カミさんがピアノ、私がチェロのピアノ四重奏が我が家のオフィシャルカルテットになった。
下の子は大学浪人中でほとんどヴァイオリンは弾かないが、月に一度くらいは弾く。
だれしも、人生のスパンの中で、楽器が弾きたくても弾けない時期というのがあるものだが、そういう時期は永遠には続かない。弾きたいと思うなら、そのうち、弾く時間を作れるようになる。弾けない時期を上手に乗り切れば、再開したときのリハビリが楽だ。
下の子のヴァイオリンはもちろん、下手になっているが、楽器を鳴らす感覚だけはキープさせてやりたいと思っている。左手の速くて正確な動きとか、初見で瞬時にポジションを計算する力とかは、練習すれば戻る。でも、弓の毛と弦の当たる感触、楽器の胴体をふるわせる感覚は、失われると取り戻しにくい。
それで、普段はヘンデルのヴァイオリンソナタの易しい楽章を、チェロとピアノの伴奏で弾いている。
昨夜は、ちょうど上の子もいるので、モーツァルトのピアノ四重奏曲第1番ト短調k.478の2,3楽章を弾いて遊んだ。一方は浪人でほとんど弾かず、一方はばりばりの現役音大生だから、迫力には大差があるが、ちゃんと曲になる。
モーツァルトは、弦のプレーヤーの平均律嫌いをよく知っていて、弦が並行で動くようなところでは、ちゃんとピアノを引っ込めてくれている。そういうところでは弦は平均律に邪魔されずに気持ちよく和音を完全に合わせることができる。下の息子も錆び付いてきた腕であっても、こういうところの音程を外すことはなく、実に気持ちよい和音の響きを楽しめた。
弦楽器を弾く楽しみにはいろいろあるけれど、物理的に完全に調和している和音を一緒に作り出す快感は非常に大きい。
チェロ ピアノ