はかせさんのブログ（日記）〜クラシック音楽の総合コミュニティサイト Muse〜

　普通の都立高校出身だが、なぜか、２年生から選択でフランス語、ドイツ語を学べた。私はドイツ語を高２，高３と習ったがそのドイツ語の先生は一生の恩師だ。彼のおかげで、大学受験をドイツ語で受けるという裏技を使えたのだから。入試で、英語に比べてあきれるほど高得点が取れた。
　当時、その先生はまだ２０代の若さで、いろいろ心に残るアドバイスをくれた。この中で、非常に強い影響を受けた言葉がある。「人間老後を乗り切るためには４つ、趣味・道楽が必要だ。道楽というものはトシとって始めても、ものにならないから、諸君達のような高校生から始めなければならない。４つの趣味は、家の中でやるものと戸外でやるもの、それぞれについて一人で楽しむものと仲間を必要とするものだ。」この先生自身は、軟式テニス（戸外で仲間を必要とする）、キノコ狩り（戸外で一人で）、尺八演奏（家の中で、どっちだろう）、もう一つ何かあったと思うけれど、憶えていない。

　私は道楽者とよく言われるが、この先生の言葉のおかげで、道楽が増えることを恐れなくなったことは間違いない。仕事一途などぞっとするけれど、趣味もこれひとすじが良いなんて思わなくなったのがありがたいことだ。今のところ、チェロ演奏（家の中で仲間と）、何かを作ること（楽器とか料理とか家具とか）（家の中で一人で）、乗り物をあやつること（スポーツカー、自転車のロードレーサー）（戸外で一人）の３つだけ。ラジコン飛行機は戸外で仲間と、だからそのうち再開しよう。人体について考えることも道楽だが、これは仕事にしてしまったので、趣味にカウントしていない。今は趣味、道楽扱いにしていないが、カメラとか、刃物を研ぐこととか、地図を見ることとか、音楽を聴くとか、パソコンを作るとか、生活の中に取り込まれたものもある。

　チェロを弾くというと「良いですね、体を動かしているとぼけないそうじゃないですか？」とか言われるのは非常にむかつく。遊びとはそんな不純なものではない。趣味・道楽とは何か別の目的のためにやるのではない。体に悪かろうが、家人に迷惑をかけようが、破産しようが、動物的欲求に突き動かされ、やらずにいられないからやるのだ。知り合いのスポーツドクターは、「すべてのスポーツは突き詰めていくと体に悪い」という名言を吐いたが、真実だと思う。何か趣味を始めよう、何が良いだろう？体に良くて、金がかからず、安全で、人聞きがよいもの、何かない？なんて考えることはない。
　ちょっと興味を持ち、本や雑誌を一冊買ったと思ったら、あっという間にのめり込み、行くところまで行ってしまう、というのが私には普通だ。
　始めてしばらくの間、寝ても覚めてもその道楽のことばかり考えるのだが、そのうち、落ち着いたペースになり、生活の中に適切なスペースを確保して、他の道楽と共存するようになる。

　チェロ　ピアノ