はかせさん
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あっは、は!!私も聞いていました。つい最近の放送でした。確かに「強情」と言っていましたね。
「名人は道具を選ばない」なんて話は信じられない。やはり、その人に合った道具・楽器が最善でしょうね。
2007年11月27日 21時01分59秒

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ラジオで、ある日本人チェリストの弾くバッハの無伴奏チェロ組曲を放送していた。この人の父親は弦楽器製作家で、このチェリストはいつも父親の製作した楽器を演奏する。私もこの父親の製作した楽器を何度も弾かせて貰ったことがあるし、このチェリストは彼が小学生の頃から知っている。
この製作者の作ったチェロは明るい音色、豊かな音量、弦による差が少ない良好なバランスを特徴とする良い楽器だ。ただ、張りが強い、つまり、弦の張力を強く感じるので、左手の指で弦を強めに、そして指先のスイートスポットで押さえることを要求する。また、弓の扱いでも、きっちりと発音させる手順を踏むことを要求する。いい加減な押さえ方、いい加減な弾き方だと、音が裏返り、まともな音が出ない。ちょっと音色を陰らせようと思って左手の指の押さえ方を柔らかめにしようものなら、直ちに音がひっくり返って拒否する。強情な楽器なのだ。
製作者である父親は、そのことを問題だと思っていない。この楽器を弾きこなせない奴は、要するに人間としていい加減な奴なのだ、と信じている。私が、この楽器を弾いていると、いつも楽器にどうやったら鳴って貰えるかを考えていなければならないと言ったら、そういう半端な人間にはこの楽器は無理だ、と言われた。作者もまた強情なのだ。
演奏者である息子は、性格も良く人格的にも立派な好人物で、順調に演奏家としてのキャリアを積み上げてきている。常に父親の楽器を使う。父親はそれが嬉しく、自慢だ。自分の楽器を選ばない演奏家は、息子ほどの腕がないと考えている。
しかし、ラジオから聞こえる息子の演奏から、やはり楽器と格闘している様子がわかるのだ。一音一音、楽器のご機嫌を損なわないように弾いている。そのことが、フレーズ感を提示する邪魔になっている。演奏者の頭の中には構成感があるように感じられるが、楽器扱いの苦労が前面に見えてしまう。
もっと演奏者に優しい楽器を使った方がよいと思うのだが、それをすると父親が悲しむ、いや、激怒、いや、最低でも勘当騒ぎが必至だろう。
チェロ ピアノ