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グールドは自伝を書くつもりだと語っていたらしい、しかも、すべてフィクションから成っている自伝を。他人が書いた伝記も、著者の立場、見解に影響を受けるから公平な事実から成っているとは限らないが、自伝はさらに、本人が他人に知らせたいことのみからなるだろうから、フィクションになる可能性は大きい。
今、バレンボイムの自伝「ダニエル・バレンボイム自伝:A life in music 音楽之友社 増補改訂版2003年」を読んでいる。序文において、「アーティストの私生活はあくまでもプライヴェートなものであるべきだと思っている。−−− おそらくこのことについては、最初の妻の闘病生活という、私自身の私生活上の長く困難な歳月のせいで、必要以上に感じやすくなっているのだと思う。」と書かれていて、暴露記事を期待してもダメだよ、と宣言している。
それでも、ここに書かれている「最初の妻」である、ジャクリーヌ・デュプレを彼はどれほど高く評価しているかが読み取れる。
「私はいつも、楽器の性格が−−むろん、すぐれた奏者によって演奏された場合だが−−どのように奏者のフレージングとアーティキュレーションに影響するかを見極めようとつとめてきた。私は、そうして実に多くのことを学んだが、もちろん、これは室内楽からだけ学べることである。私が弦楽器と行った室内楽は、ほとんどジャクリーヌ・デュプレが一緒だった。このところずっと、私が室内楽をあまり手がけないのは、一つには、私にとってジャクリーヌに代わるような奏者に出会わなかったからでもある。」
また、私がとても尊敬している彼らのピアノトリオは本人達にも素晴らしいものだったらしく、その様子が書かれている。
「(子供の頃ちょっと顔を合わせただけだったズーカーマンと再会した)翌日、ジャクリーヌと私は滞在先のホテルで、彼と一緒に室内楽を演奏して楽しんだ。すぐに親近感が、音楽上の親近感が私たち三人の間に生まれた。だが、それに加えて、二人の弦楽器奏者の間には非常に強い親近感が生まれ、私たちは即座に、ぜひ三人で定期的に三重奏をやりたいと思った。そして、実際にそうしたのだった。−−短い間だったが、ジャクリーヌがまだ演奏できた頃、彼は私たちの音楽活動には欠かすことのできない存在となり、トリオの夕べは最高の時を迎えていた。ズーカーマンとジャクリーヌは弦楽器奏者としてお互いに深く理解し合っていて、二人のヴィブラートとアタックは、すぐれた独奏者たちで構成されているアンサンブルでもほとんど耳にしたことがないほど、よく調和していた。」
ジャクリーヌ・デュプレが演奏活動を行った期間はあんなに(5年あっただろうか?)短かったのに、かなりの量の充実した録音が残されているのは、優れた演奏家同士が出会い、彼らがその出会いに興奮し、無理をしてでも共演し、録音したいと願ったからなのだろうと思う。
ズーカーマンと再会したのが1968年で、1970年にはデュプレの多発性側索硬化症は彼女のチェロ演奏を困難なものにしていた。あのベートーヴェンのピアノ三重奏の全曲レコーディングはそんなにも短期間に行われたとは思えない完成度だと思う。
チェロ ピアノ