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明日はカンタータの団体の本番だ。相変わらずソロの曲(アリアやレチタティーボ:歌手一人+少数の器楽のみ参加)の練習はほんのわずかしかやっておらず、恐ろしい。こういう状況だと歌手の顔を目で見ながら弾かないと気持ちよく歌わせてあげられないのだが、そうすると、楽譜に目にやったとき見失ったりして非常に危険なのだ。
あさっては飛行機で上京して、東京の先生のおさらい会でベートーヴェンの4番のソナタを弾く。
こういう状況で、こちらの先生のレッスンを受けた。この週末とは全く関係ない、コダイの無伴奏チェロソナタの1楽章を習った。先生はなんとこの曲を勉強したことがない、ということだったが、充実したレッスンだった。この先生は毎回教えるテーマを少数に絞ることにしているようで、あとで自分で練習するとき、やりやすい。
今回のテーマの一つは、ディミニエンドのコントロールだった。暖房のファンヒーターの音より弱くして、なおかつちゃんと鳴っているように。完全な右手の脱力が必要だ。クレシェンドも同様に最小音量でも音が固くならないようにコントロールする。
もう一つがフォルテピアノの処理。最大音量で鳴らしたあと細くピアニシモが残るパターンがコダイには多いのだ。これはフルオーケストラがフォルテで弾ききって消えたら、あとに細くオーボエやフルートが一人残っている感じを一人でやるのだ。こちらはディミニエンドが見えないように弾かなければならない。
あと、細かいパッセージの練習仕方の注意を受けた。ゆっくりから練習するのだが、ゆっくりであっても音楽的に!速く弾いているときの方向性、強弱の作り方、速度の微妙な変化を保ったまま、テンポだけを落として練習する。音楽表現を保ったまま練習すること。
バレンボイムの自伝にも同じことが書いてあった。
「問題をまず技術的、器械的側面で解決してから、その後に「音楽性」を、ケーキのてっぺんにクリームを載せるようにつけ加えようとする音楽家にしばしば出会うことがある。だが、この二つは最初から一体化させておかなくてはならない。そうでないと、肉体的な問題を克服するために利用した技術的な手段が、音楽表現にどうしても影響を及ぼしてしまうからである。」「私はまず、技術的に難しいパッセージを−−それだけ取り出してゆっくりと−−思いのままに弾きこなせてフレージングできるようになるまで練習する。遅めのテンポで完全に弾けるようになるまで、本来のテンポで弾くのは我慢しなければならない。そのようなパッセージを、フレージングは後でつけ加えることにしようなどと考えて器械的に弾くことはしない。そのパッセージが技術的に難しければ、完全に弾けるところまでテンポを落として弾かなければならない−−だが、その時でも、音楽的な表現はいささかもないがしろにしてはならない。音楽的な側面から技術的な側面を分離するのは、魂から肉体を引き離すようなものである。」
チェロ ピアノ