はかせさんのブログ(日記)〜クラシック音楽の総合コミュニティサイト Muse〜

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伴奏と二重奏

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 私はカミさんとチェロソナタをよく演奏するが、ピアノトリオやピアノ四重奏なども一緒に演奏する。
 3人以上の室内楽曲を解釈し、仕上げていくのと、2人でチェロソナタを練習する過程に何の違いもない。当然、チェロソナタもチェロとピアノのための二重奏として捉えている。

 しかし、プロの演奏も含めて、チェロとピアノあるいはヴァイオリンピアノのためのソナタを二重奏として演奏していない様子をよく見かける。独奏者と伴奏者という関係になっているのだ。
 一昔前までは、伴奏ピアニストという感じの人がいて、独奏者がいろいろテンポを揺らしたり、カウントミスしてもぴたぴたと合わせてくれ、いつも独奏者が目立つように控えめに弾いてくれる技術を高く評価されていた。
 いつも独奏者の様子をモニタしていて、その意志を忠実に読み取り、合わせてくれる。今でも、外国からやってきた独奏者がピアニストを連れてこなかった場合に起用される、ピアニストがいて、少ない練習回数で立派に本番まで仕上げる。彼らはもちろん、そのへんの独奏ばかりやっているピアニストのように無神経に弦楽器を叩きのめしたりせず、優雅に陰に隠れて弾く。

 でも、私はそういう演奏を聴いていると落ち着かない。ピアニストからの踏み込みが浅いのだ。
 多くの人が、ピアノに主導権がある部分でもそこを主役として弾かない。いつもチェロやヴァイオリンの様子を窺いながら、頭搔き搔き弾いている。最近の上手な人だとちゃんとそういう箇所を主役として弾くのだが、弦楽器と衝突することはしない。弦楽器が出てくる前に十分な余地を残して引き下がる。ピアノが引き下がってから弦楽器が出てくるまでの隙間が私には気になって仕方がない。
 室内楽の場合、そこの継ぎ目が厳密にどこにあるのか、ということを練習中に十分議論してあるから、隙間を作らないように注意して弾く。二重奏として弾く場合も同じだ。集中して聴いていないと気付かないけれど、自分たちで演奏してよく考えた経験のある曲の場合、他人がそこに隙間を作るとすぐにわかる。

 また、ある旋律をまずピアノが弾き、そこではチェロが伴奏、数小節後、今度はチェロが旋律でピアノが伴奏に入れ替わる、というパターンがよくあるが、伴奏ピアニストは最初に自分が弾く旋律をまるで前座のように弾き、チェロに旋律が回る部分を本番のように弾いたりする。逆にチェロが先に旋律を弾き、数小節後ピアノに回るパターンだと、最初のチェロを本番、あとでピアノに回った時は、繰り返しのように弾いたりする。
 曲想にもよるだろうが、私は、ピアノで弾くときもチェロで弾くときも同じ温度で弾くことが多い。歌い方、音符ののばし方、スタカートの切り方、勢いを二人でよく揃えるように扱う。

 そういうことを曲全体に渡ってやるのは、二人で合わせる練習時間がかなり必要だ。忙しいプロでは望めないのかもしれない。

 チェロ ピアノ


日付:2007年12月18日

3件のコメント

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このブログ(日記)へのコメント

K子

まったく同感です。うまくいっている二重奏を聴くチャンスはなかなかなく、聴けたときは非常に感動します。はかせさんご夫妻の演奏はまさに「二重奏」で、「私もこういうのをやりたいんだ!」と強く思いました。

時間がなかったんだな、と思われる二重奏や、ピアニストが「伴奏」と認識して演奏している場合、合わせるところは、たぶん優先的に打合せをしているので合っていますが、別々に同じ音型を弾く場合のアーティキュレーションが違っていたりしますね。

そういうところが合っていると、楽器にかかわらず、同質な音がして、ひとつの音楽になっていると感じます。

チェロとピアノは音域が重なっているので、とりわけ難しく、互いに忌憚ない意見をいい合える共演者に巡り合えないと、実現はなかなか難しいです。どこに行けば巡り合えるんでしょう(涙)。

2007年12月18日 16時16分25秒

はかせ

わざわざ、おいで頂き、また、演奏をおほめいただき、ありがとうございます。

「互いに忌憚ない意見をいい合える」ということは、常に喧嘩状態です。それはそれでしんどいものです。

2007年12月21日 09時02分01秒

K子

たしかに壮絶なんでしょうね。。先生もそうおっしゃっていましたね。
でも、楽しいだけのアンサンブルはつまらないです。産みの苦しみの先にしかない達成感、といういうのもあると思うので。

2007年12月21日 11時52分21秒

3件のコメント

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