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バレンボイムのピアノトリオ

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 ベートーヴェンの2番のピアノトリオの楽譜を見て、ヴァイオリン抜きでちょっと弾いてみた。チェロパートに技術的な困難はほとんど無いことがわかって一安心だ。参考のためにCDを聴いてみることにした。迷うことなく、バレンボイム(Pf)、ズッカーマン(Vn)、デュ・プレ(Vc)の演奏を聴く。彼らのベートーヴェンの演奏を私は最も信頼している。

 もともと、女性とは思えない豪放なデュ・プレの演奏が好きで彼女の全集のCDを買ったのだが、じきに、室内楽でのバレンボイムのすばらしさに気付いた。op.70-1「幽霊」を練習していて、有名な幽霊の楽章がよく理解できなかったとき、彼らの演奏の録画でバレンボイムの様子を見て、すべて腑に落ちた。

 ピアノトリオの3人の関係は団体ごとにさまざまだ。歴史上有名な三重奏団はいろいろあるが、この3人では、バレンボイムが間違いなく指揮をしている。バレンボイムは父親からしかピアノは習わなかったが、ピアノの天才少年の時代から指揮者になるべきだと言われていた、と自伝には書いてある。生まれついての指揮者のようだ。

 だから、ピアノトリオは、彼にとってはピアノコンチェルトを弾きながら指揮しているのと同じなのだろう。あとの2人も大変な名手だが、おそらく、2人ともバレンボイムを深く信頼し、彼の意見に納得して演奏していると思う。

 同じピアニスト主導のトリオでも、たとえば、アルヘリッチ、マイスキー、クレーメルのチャイコフスキーのピアノ三重奏曲のビデオでは、アルヘリッチは言ってみればピアノパートを通して曲の全体像を想像している、というように感じられ(スコアを勉強していないんじゃないか?!)、あとの2人は彼女に引きずり回され、尻ぬぐいをさせられているようで、それはそれですばらしい。しかし、バレンボイムは曲全体のスコアを指揮者として良く理解し、弾き振りをしているようだ。そして、彼のベートーヴェンの解釈はまだ20歳代の当時であっても完璧だったと思う。

 2番のトリオのCDは思った通り、素晴らしい演奏だった。ますますこの曲を弾くのが楽しみになってきた。

 チェロ ピアノ


日付:2007年12月05日


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