はかせさんのブログ（日記）〜クラシック音楽の総合コミュニティサイト Muse〜

　道楽が多いと、よく、人から相談を受ける。チェロを始めたいのだけれど、楽器はどこで、どんな楽器を買えばよいの？先生は？という相談は簡単だ。師匠の店を紹介し、ここで勧められた楽器を買いなさい、と言い、先生は東京の先生を紹介すればよい。ほとんどの人がその通りに行動し、満足しているようだ。

　最近、なぜか、スポーツ自転車の相談をよく受ける。あれは運動する手段として理想に近いことが認識されてきたらしい。ジョギングのように関節を痛める危険がない有酸素運動だ。もちろん、転倒、事故で死ぬ危険はあるが。
　私の愛車はチューブラータイヤのロードレーサーで、タイヤの幅が21mmで重量８キロというものだ。１１年前に作って（好みのパーツを集めて自分で組み立てた）４０万円ほどだった。２０年以上様々なスポーツ自転車を買い、沢山走ってきた結論がこれだ。
　ロードレーサーの専門店に行き、身体に合わせてオーダーメイドで作ること、店主に逆らわずに作ること、予算は最低３０万円くらいから、とアドヴァイスをする。
　しかし、相談してくる人は決して私のアドヴァイスを受け入れない。スーパーマーケットで売っている１０万円くらいの自転車でも楽しいでしょう？とか、こんなに細いタイヤだと危ないでしょう？とか言う。アドヴァイスを聞かないのなら相談しなければよいのに。結局安物で精度が低く重い自転車を買って、楽しくないからすぐに止めてしまうか、良い自転車を買い直すかなのだ。

　デジタル一眼レフカメラを買いたいのだけれど、という相談も同じだ。皆、何しろ安いものを買いたがる。安くて軽いボディに、軽くて安いズームレンズをつけたセットが各社から出ているが、その中でどれがよいだろうか？と聞いてくる。私はこれまでにたくさん授業料を払ってきて、安物を買うと必ず後悔することを知っている。ちゃんとしたものを買った方が良いというのだが、全然聞き入れない。安物を買い、フルオートで写真を撮り、コンパクトカメラと大して違わない写真しか撮れないと愚痴る。そんなの当たり前だと思うのだが。

　こういう人たちは、最初から結論が決まっている。上級者の言うことを聞き入れない。頑固なのだ。楽器でも頑固な人は決して上達しないものだが、こういう人は遊びについても勉強しないから、何をやっても上達しない。面白いところまで行かない。

　カメラの様々な設定の意味、どこをどうすると写真にどういう影響がある、そういうことを知ろうともしない。スポーツ自転車は靴とペダルが固定するようになっており、それによるメリットは非常に大きいのだが、そんなことを知ろうともしない。外れないと怖いなどという。３０分も練習すればだれでも安全に扱えるのに。

　そういえば、ある有名なロードレーサーの専門店の社長が、「ロードレーサーは、始める前のたるみきった肉体に合わせて作るのではない。痛いの窮屈だの言いながらトレーニングして健康で美しい肉体なったとき、フィットするように作るのだ」と言っていた。頑固な人は、自分が練習やトレーニングや勉強によって、違う肉体と脳を持つようになれることを信じることができないらしい。

　チェロ　ピアノ