はかせさんのブログ（日記）〜クラシック音楽の総合コミュニティサイト Muse〜

　下の息子は浪人中だ。本命の国立大学の合格発表待ちという落ち着かない時期だ。私立大学は全部合格したが、それは去年も同じ。緊張をはらんだ時間が過ぎていく。後期日程でも同じ大学の同じ学部に出願しているが、あまり勉強する気にもなれないだろう。自分が大学受験でただ一校しか出願せず、入試と発表の間は一人で旅行していたことを思い出す。
　
　昨日、この子が自分から合奏しよう、トリオを弾きたい、と言い出した。ずいぶん一緒に弾かなかったメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第二番を弾きたいと言うのだ。この曲の第一楽章は劇的な構成で、男の子の心を掴むのだろうか、上の息子もこの曲が好きでよく弾いたが、下の息子のお気に入りでもあったから、この子が中学生のころしょっちゅう弾いていた。

　新しくできたヴァイオリン（私の第三号ヴァイオリン）はいろいろなプレイヤーに見せているところで、なかなか評判が良いのだが、この子は自分が愛用している第二号ヴァイオリンの方が好きだという。低音の鳴り方がヴィオラみたいだからお兄ちゃんはこっちが良いと言うと思うよ、などと言っているが、少し慣らしてあげようと言って新作の方を手に取る。

　私もカミさんも久しくこの曲を弾いていなかった。カミさんのピアノはぼろぼろだったし、私もとっさにポジションの計算が出来ないところが多くてうまく弾けなかったが、三人とも曲は理解しているし覚えている。

　これを弾いていた時期と今との間ではカミさんも私も、かなりの経験の差がある。この数年、とても充実した演奏経験を積んできたのだ。だから、曲の要求は弾きながらわかる。以前よりフレーズは長く取れるし、どこで新しい局面が始まるか、今どこに向かっているのかも、弾きながら見通せる。間の息は長く取るしテンポや強弱の変化も大胆に作りながら弾いていく。

　不思議なことに息子も全然違和感なく、自然にその中で弾いている。日頃ほとんど弾いていないから、弓先のコントロールが下手になっているし、弱奏したくてもちゃんとできないとか、いろいろあるのだが、音楽の運びはしっかりしたものだ。まあ、クラシックじゃないけれど、音楽はとても好きで、しょっちゅうiPodに新しい曲を入れているし、勉強しながら（？）よく大声で歌を歌っているから、音楽がどのように進行していくべきかは、身体が理解しているのだろう。

　弾いていて、どうもチェロが鳴っていない気がしてきた。ほとんど初見状態でポジションが決まらないせいかと思っていたが、それだけではない。ヴァイオリンの音が強いのだ。息子が音量のコントロールがうまくできないせいもあるのだが、この楽器はかなり鳴るようだ。特に中音域より下の鳴り方が良いようだ。もっと時間が経って完全に乾いてくれば、高音域ももっと鳴ってくれるだろう。なかなか楽しみだ。

　チェロ　ピアノ　ヴァイオリン（バイオリン）