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いつも一緒にやっているクラリネット吹きからお誘いがあって、ブラームスのクラリネット五重奏曲をやることになった。外国に住んでいるヴァイオリン弾きが3ヶ月間帰国するのでその間限定ということだ。ヴィオラは知り合いだが一緒に室内楽をしたことはほとんどないし、ヴァイオリンは二人とも知らない。普通なら怖くて断るところだが(もし、短縮用語を使う人種だったらどうする!もし、下手な上、頭が悪かったらどうする!)、期間限定なので3ヶ月過ぎたらおしまいだし、このクラリネット吹きの頼みは断れない。本番は想定されていないし。
この曲はいうまでもなく、ブラームスの室内楽の最高傑作で、非常に難易度が高い。最初に触れたのは大学生の時だった。高校の一級下の後輩が同じ大学でオーケストラに入っていて、そこのオーケストラの人4人と私(私は大学オーケストラに入らなかった)とで何度か練習したが、全く歯が立たなかった。ブラームスの譜割りになれていないと到底カウントできるものではないし、かなり特殊な右手の技術も必要だし、左手も難しい。次にやったのは5年ほど前。あるパーティで上手なプロのクラリネット吹きと会って、発作的に「私のカルテットとやってください!」とお願いして実現した。このプロが我が家へやってくるまでの間、カルテットで必死で予習をした。ヴィオラは息子でヴァイオリンは二人とも名手だったが、プロを呼んできて落ちると申し訳ない。クラリネットパートをヴィオラ用に書いた楽譜があったので、カミさんにこれをピアノで弾いてもらってしつこく練習した。ある一日、朝から夕方までこの曲を何度も弾いて楽しんだ。
今ではブラームスの室内楽に随分なれたのだが、それでも、この曲の2楽章、特に中間部のカウントは非常に難しい。パート譜にたくさんガイドを鉛筆で書き込んである。今度の初顔合わせまでにCDを聴きながら楽譜をにらんで、間違えずに入れるようにしておかなければならない。
チェロ ピアノ