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5つの音にこめられた思い(中)

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マーラーの交響曲第9番の第1楽章は、まるで遠い昔に思いを馳せるようにAの音から穏やかに静かに始まる。

チェロ、ホルンハープ、ビオラで替わるがわる演奏される5つ(ないしは6つ?)の音型が示された後に、とてもゆったりとして伸びやかに歌うような第1主題へと入っていく。


私は音楽を専門的に勉強したわけでもなく、これを書くにあたっても専門書の類を読んだわけでもないので、これらの音型が動機として扱われているのか、全体として単なる序奏に過ぎないのか、明確に示すことはできないけれども、これら5つの音型がそのままの形や変形をされて
この楽章においては何度も使われていることは、楽譜を見るまでもなく、一度聞いてみれば誰にでも分かってしまうだろう。

しかもそのほとんどが、同度であったり、2度や3度の音程でしか動かない単純なものばかりなのだから、かえって何か大きな意味が持たされているのでは?などと考えてみたくもなるけれど(ベードーヴェンの「運命」のように)、
私が注目をしたいのは、唯一大きな動きのあるホルンで鳴らされる音型。


ラ、レー、ド、ソ、シー・・・
何度聴いても私の耳ではこう聞こえてしまうので、本当に頼りないのだけれど、楽譜を見ると正しくは、
ミ、ラ、ソ♯、ド♯、ファ♯。
ホルンはF管なので、実際に鳴っているのは、
A(ラ)・D(レ)・Cis(ド♯)・Fis(ファ♯)・H(シ)。これが正解。(間違っていたらご指摘ください。)

演奏されると、30分近くもかかるこの長大な楽章は、ひとつ前の作品「大地の歌」で用いられた「告別」のモティーフが改めて使われていることやこの曲が作曲家にとっては、ひとまず完成を見た最後の作品となったことで、
近づく「死の予感」とどのように向き合ったのか、といったような切り口で語られることが多く、実際の演奏もそのようなアプローチを否定しない重苦しい響きや荒々しさを前面に表したりすることが多いような気もするけれど。

形式の上ではソナタ形式を装っているように思えて変奏曲のようでもあったり、展開部と思われる箇所では特に強調される高度な対位法による配置の妙、
冒頭の音型だけではなく、第1主題や第2主題を部分的に変形させたものに加えて、木管によって束の間に挟まれる美しい楽句、金管によるすべてを打ち壊すような力強いファンファーレなど、印象的な短い音型が楽章中のあちらこちらに散りばめられたまるでコラージュのような全体の構成。
そして、調性による統一性は無に晒されたような目まぐるしい転調…など。

「死への予感」による恐怖や苦しみだけではくくることのできない、もっと意欲的で切なる思いがこの楽章にはこめられているような気がしてならない。
むしろ、これまでの伝統を受け継ぎつつ、さらに新しい音楽を生み出そうとする意気込みのようなものが。

この記事を1本の木だけを見て、森を見ず、そしてその向こうにそびえる山を望むことをしないような話にならぬよう注意したいけれども、
私には冒頭にホルンによって奏される5つの音にそれが象徴されているように思える。


(つづく)

 作曲家 交響曲 ヴァイオリン(バイオリン) チェロ 室内楽


日付:2012年02月25日

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