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私には信仰心が無い。
だからと言ってそのせいばかりではないけれども、
先週の日曜日の夜も、寝る前には結局、
自分のことを中心にして思いを巡らせていた。
今、自分が立っている位置。
あるいは、立たされている位置について。
今の住まいに転居したばかりの頃、夜になると無性に悲しくなって
以前の職場の同僚で知人でもある方に色々と相談をしたことがあった。
時には、本当に答えに窮するくらいの言葉を、私はさんざんに言い放つこともあったけれど、
その方は、一貫して「答えはいつも自分自身の中にある。」
そう私に伝え続けていた。
ブログを書いてみたらいいよ?
ワクワクする、楽しいことを。
以前にそう言ってくださったのも、その方だった。
もうだいぶ前から続けられているその方のブログを久しぶりに開いてみた。
今の自分を見つめ直すために。
そしてその直後に、hiroさんが書かれたブログを読み、とても心が鎮まった。
お二方の書かれていることは、相反するようでいてなんだか共鳴しているようにも私には思えて、
すぐさま何かを伝えたい気持ちが起こったけれど、
私はそのまま眠りに着いてしまった…。
久しぶりに連絡を取ってみたら、快く承諾をしてくださったので、知人のブログから私が感じ入った記事を、そっくりそのまま引用させていただこうと思う。
── 神 「自分が起こってほしくないことが
起こっていると『想像すること』は
可能だよ。だが、実際はない。
犠牲者だと思うのは、視野が限られて
いる証拠だ。真の犠牲などありえない
のだから。」
ニール 「でも、娘をレイプされたひとや
『民俗浄化』という蛮行によって
村を滅ぼされたひとたちに、犠牲など
ありえない、なんて言えませんよ。」
神 「苦しみのさなかにあるひとたちに
そういう言い方をしても、何の意味も
ないだろうね。
そういうときには、ただ深い同情と
心からの気づかいと優しい愛情をもって
寄り添ってあげるだけでいい。
霊的な決まり文句や知的探求を、
そのひとたちの苦しみを癒す薬として
差し出してはいけない。
まず痛みを癒し、それからその痛みを
創り出した思考を癒すことだ。」
地震と原発事故から一年。
私たちが初めて経験する今回の災害は、決して天災だけのものではないだろう。
そして、「被災地」という言い方は、
もう使うべきではないんじゃないかとテレビのニュースで訴えている人もいた。
そう言ってはならないような冷酷な状況が、私たちの目の前で起こっているからだ。
深い傷を心に負った人にとっての一年など、あまりにも短いことだろう。
生活を立て直して欲しいことが急務である最中に、
心の復興について述べることが相応しいとは
とても思えない。
でも…、心の復興も間違いなく必要なことなのだ。
かつて、精神科医の神谷美恵子は自身の著書「生きがいについて」の中で、人の心の癒しと再生について随想するように述べていた。
知的探究心による欲求、審美的な欲求、創作の欲求、
思索のよろこび、
そして、信仰心によってもたらされるよろこび…
などについて。
これらはすべて、人の「生きがい」に通じるものでは
なかろうか、と。
音楽は、これらすべてのことに多かれ少なかれ関わっていて、どうしたって割り切れない思いを、そっと癒してもくれるだろう。
hiroさんの祈る思いに、私も異をとなえるつもりはまったくない。
ただ…、心の復興が必要とされる前に、もっと現実的な要求に私たちは応えるべきではないだろうか。
悲しみを癒すには、悲しみに寄り添うこと。分け合うこと。
薬を差し伸べたり、見つけて欲しいと願うにはまだ早い。
あなた自身のことと
あなたに起こったことのすべてを私には理解できない。
でも、あなたの悲しみならば、私にもきっと理解できる。
そしていつだって思い出して欲しい。
楽しかった時のことを。
あなた自身の楽しみは、あなただけのものだから、と。
私も、現実の世界に向かって、そう祈るよりほかにできない。
悲しみの連鎖を断ち切るためには。
どんなに弱く些細なことであったとしても、心の復興が必要とされる前に。
自分が今、どこへ向かっているのか、たとえ分からなくても。
作曲家 交響曲 ヴァイオリン(バイオリン) チェロ 室内楽