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昨晩は、仕事の帰りに演奏会に行って参りました。
プロの演奏会に訪れる機会には恵まれず、あえてそれを避けてもいたこの4月。
その締めくくりとして聴かせていただいたのは、ピアノトリオ ミルテの皆さんです。
一週間の終わりの金曜日。
気持ちの上での解放感とは反して体は疲れ切っているので、音楽を聴く時間として相応しいものなのかよく分かりませんが、
至極現実的な(もしくは非現実的で不条理な)場所からも解放されるのと同時に、
今さっき聴いたばかりの音楽による心地良さから何とも言えない浮遊感に包まれて、家路に着くことができました。
室内楽のリサイタルにお伺いしたのは、本当に久しぶりのことです。
一晩明ければ少し冷静になって、昨日の演奏を反芻してみたり、今おそらく大きな迷いの中にある自分自身を見つめ直してみたくもなります。
ここではあくまでも記録として感想を述べることが目的ではあります。
それでも、音楽そのものと対話でもするかのように徒然に、感じられたことを言葉に換えて、
未来という場所からも時には思い出せるような体験であることを願います。
昨晩の曲目は、ベートーヴェン、スメタナ、メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲。
自分にとって意外でもあったのが、ソロのリサイタル、弦楽四重奏や木管のアンサンブルなどは既に演奏会や発表会などの場で聴いていたのにも関わらず、
ピアノトリオはまったくの初めてであったということ。
もっとも馴染みの深いピアノと、好きな楽器であるバイオリン、チェロ。
この組合せには改めて大きな魅力を感じます。
それぞれの楽器は、ソロでも十分に豊かな表現力はありますけれど、お互いに無いものを補い合ってもいるようで、演奏する側にも聴く側にも味わい深いものがあるのではないでしょうか。
ベートーヴェンのピアノ三重奏曲第4番にしても、
スメタナの三重奏曲にしても、まったくの予習なしで伺うことにしました。
今や私には、どんな演奏が本当に良い演奏であるのか、分からなくなりつつあります。
そうである以上、実際の演奏に触れることによって、いろいろなことを思っているのです。
局所的なところに注意を傾けつつ、演奏されている音楽から全体像をつかみ取ろうとはしているのでしょうが、
言葉で言うことは簡単でも容易なことではありません。
それが演奏会という再現のできないものであるのなら、
プログラム各曲の流れや繋がり、同時に一曲における単一楽章についてはどうなのか…
楽章内でのフレーズや組立て方、あるいは一和音の響きや単一音の発声に至るまで…細かく見ればキリが無くなりますし、
奏者の奏でる音に寄り添ってみたり離れてみたりと繰り返しながら、演奏に向かう姿勢や思い入れ、
やがては作曲家の思いへと通路が開けること…それが理想ではあります。
道はまだまだ遠いと感じています。
そのような自分を知りながら、演奏会に通い続けたり、
こうして書き続けることには微妙な恥ずかしさが伴うものです。
それでも私は、聴き続けることをやめることはないでしょう。
さて、一曲目のベートーヴェンの曲については、本来はクラリネットとチェロ、ピアノのために書かれた作品であるとのこと。
この組合せについては不思議な感じを受けますが、
弦楽四重奏曲や交響曲に見られる重厚さはなく、むしろ愉快とも思える曲でした。
作曲家の多才な一面を教えていただいたようで、貴重な体験とはなり得ましたが、ただ残念なことに、全体的にあっさりとした感じの演奏で、殆ど記憶には残っていません。
奏者の皆さんに緊張している感じはあまり見受けられませんでしたが、
曲全体を通して、音が硬いという印象を受けました。
でもこの曲は終楽章に面白さがあるので、是非、今後も挑んで欲しいと思います。
昨晩の演奏でもっとも記憶に残っているのは、二曲目のスメタナの作品。
チェロ奏者の方のお話にもありましたが、本当に「ソリスティック」な楽曲で、私の室内楽に対するイメージが一新されてしまうような驚きがありました。
演奏するのはすごく難しそう…でも楽しそう、そんな印象があります。
第一楽章の始りから、異種格闘技戦のようにそれぞれの楽器が火花を散らすような部分があり、思わず惹き込まれました。
一方では、とても丁寧に演奏をされていると感じ、奏者の皆さんのひたむきな姿勢にも感じ入り、
私は徐々に徐々に呼吸が深くなり、発せられている音楽が生み出す世界とは別に自分の世界にいつしか入り込んでいました。
自分がなぜこうして音楽を聴き続け、そしてまた室内楽に対しても興味を持ち続けているのか、思い巡らしていました。
その究極には、人の心を感じ取りたいからなんだと理由を付けることはできたとしても、それだけではない何かがあるはずだからで、
その答えを見つけることもまた容易なことではありません。
第2楽章、第3楽章と進むうち、私はもう何かを思うことすらやめてしまって、心地よい疲労感に襲われるとともに、自分という存在が
だんだんと希薄になっていく感覚に身を任せていました。
情熱的な2つの弦楽器の重く切ない響きを支えているピアノ伴奏の音が終始、私の心に沁みわたっていました。
初めて聴かせていただいたスメタナの三重奏曲が、とても素晴らしい作品であったことは私が言うまでもないことです。
最後のメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番。
奏者のお三方にとって、思い入れの強い作曲家で作品でもあるとのことでしたが、これは言うなればデザートのような味わい。
私もさらに重い曲目が続くようであれば、放心して疲れ切ってしまったと思います。
休憩明けの第一楽章の冒頭。
これから美しい音楽が続々と生み出されるその始まりを、私はこの日もっとも集中を高めて耳を傾けました。
この曲については、その歌い出しがとても重要だと思えるからです。
発声がとても滑らかになっていて、奇をてらうこともなくとても自然で、そのまま終曲まで一息に流れていくようで十分に堪能させていただきました。
この作品の抒情的でありながらも気品の高さ。
それは必ずしも私の好みとは言い難いものはありますけれど、心洗われる音楽であることは疑いようがありません。
スメタナの曲で、いささか前面に出過ぎて力みもあった歌いたい気持ち。
それが程良く抜けていて、音楽に素直に向かう姿勢を感じ取ることができました。
もしかしたら、第二楽章にかなりの意気込みがあったのかもしれませんが、
聴いている側でも我を忘れてしまうほどに美しく、
演奏後に思わず笑みがこぼれてしまったことに、こちらも微笑ましく思えたほどです。
称賛を述べてしまってからケナしてしまうのは私の常ではありますけれど。
ピアノトリオ ミルテの皆さん、室内楽のアンサンブルとしてはまだ若干の物足りなさがあります。
私のように、音楽から受け止められる共感のその向こうにあるものまでも追及し感じ取りたい者にとっては、もっと努力して欲しいところもあります。
奏者の方それぞれに個性があり、それを実際の演奏で聴かせることも楽しみの一つであるかもしれませんが、
それはあくまでも音楽表現によって成し遂げて欲しいものと願います。
まだそれぞれが目立ち過ぎてしまう箇所が多く見受けられ、アンサンブルとしての完成度をまず高めて欲しいと思います。
お三方の力によって、もっと表情の豊かな演奏ができるのではないかと今後に期待したいところです。
スメタナの曲での感想でも述べましたが、ピアノ奏者の方が野球にたとえれば、キャッチャーのような存在で、二人の弦楽奏者をしっかりと支えていて、とても好ましく、
その姿に私はむしろ何かを教えられたような気がします。
有意義な時間を過ごさせていただいことに感謝いたします。
そして本当にお疲れ様でございました。
作曲家 交響曲 ヴァイオリン(バイオリン) チェロ 室内楽