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少し前の休みの日に、すっかり習慣化してしまった昼寝を貪っていた時のこと。
夕暮れどきに目が覚めた頃にはばかに周りが静かで、
開け放していた部屋の窓の外を見たら、外の風景が一面に青く見えた。
これは日が長く、ゆっくりと日が沈んでいく夏にはよく見られる現象で、プルキニェ現象と言うのだそうだ。
人間の目は、明るいところでは赤みのある色が鮮やかに見え、逆に暗いところでは青みのある色が鮮やかに見える…
それは、実際の色とは無関係に生理的な要因によるものらしい。
秋や冬の夕暮れとは違って、だんだんと暗くなっていくので、
車を運転したりしているととくに感じることであろうけれど、前の車のブレーキランプや道路わきの標識、信号のランプ…などが見えにくくなってしまうのは、このプルキニェ現象のせいなのだ。
近頃の私は、エアポに入り浸っている。
エアポとは、エアポートのことではなくて、エアポケットのこと。
そう言えば、千葉に住んでいた頃は、夏場によく成田空港へ通った。
とくに用事があるという訳でもなく、かんかん照りの強い陽射しの下で、展望デッキに並んだベンチに腰掛けては、次々と離着陸を繰り返すジャンボ機の勇ましい姿をただひたすら眺めて過ごしていた。
「今、私は自ら選んでここに居る。だけど、その気になればいつでも遠くへ飛びたてるのだ」
この言葉は、20代後半の頃から10年近くの間ハマっていた江國香織のエッセイの中にあった言葉だと
おぼろげに覚えているけれど、まさに私もそんな気分であった。
ここ1ヶ月くらいの間、先月の半ば頃にコンサートへ行って以降、クラシックをあまり聴いていない。
でも、音楽は相変わらずよく聴いている。
何を聴いているのかは、あえて書かない。
誰にでも秘密にしたいことの1つや2つ、3つや4つくらいはあるだろう。
本当なら、と言うか、自然な反応をするのであれば、もっと怒りを露わにすべきことが私にもいくつかある。
人は、私を上昇志向の強い、野心家だと言う。
でも、本当はそうではない。
ただやるべき事に忠実でありたいだけなのだ。
元来は、どうしようもないくらいの怠け者。だから、自分に負けることを恐れる時もある。
理想主義者であると言われれば、嬉しくなる時もある。
今日も、夕暮れ時に晩御飯を食べながら窓の外を眺めていた。
外の景色は、やっぱりだんだんと青みを帯びていった。
夜、散歩に出たら、思っていたよりも風が心地よく、本格的な夏の到来はもう少しだけ先のことなんだろうと思った。
今年の夏は、ただひたすら「待つ」ということが、もしかしたら必要になるのかもしれない。
作曲家 交響曲 ヴァイオリン(バイオリン) チェロ 室内楽