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16日6本、17日6本、今日18日に8本張って、やっと弦張りが完了した〜♪。
調律も少しづつ整えて行きます。「なんちゃってキルンベルガー第1」だと、A-Dの5度がヴォルフで特別に悪い響きになるんですが、平均律クラヴィーア曲集にはこのA-Dが出てくるので、この調律は使えないんだよね。さて、何から行こうか。
改めて、今回作った楽器について纏めておくと、
キットの設計に関しては
Design by D. Jacques Way & Marc Ducornet
based on Hubert’s instruments
となっている。つまり、現存した古楽器のコピーではなく、それをベースとしつつも、現代的にアレンジして設計しなおした楽器、ということらしい。
はっきりとは書かれてないが、おそらくこの辺をアレンジしたんじゃないか、と思われるポイントが、ここまで作ってみてちょっとだけ見えてきた気がする:
・低音域がショートオクターブ仕様じゃない。
まぁこれは、現代のピアノ演奏家の感覚からしたら、ショートオクターブなんて有り得ない話だし、かといって低音の鍵盤が足りないのも困るので、低音域の鍵盤を増設してあるのだと思う。・・・という都合は解るのだけど、実際に作ってみると、この低音域へのコストのかけ方は、全体としてみるとアンバランスな気がしないでもない。
・複弦仕様。
弦を減らすためのフレットクラヴィコード(フーバート)なのに、贅沢に1つの音に2本づつ弦が張ってあるというアンバランス。これもオリジナルは単弦だったんじゃないかなぁ。今の感覚と違って、17世紀の真鍮弦は、かなり貴重なものだったんじゃないかと思うんだよね。というか、そもそもガット弦のはず?
もちろん、複弦にもメリットはあって、調整次第で綺麗な音が出せるとか、音量的にちょっとでも有利だとか、そもそも単弦だと音が安っぽすぎて値段に見合った魅力のある響きの楽器にならないんじゃないかとか。いろんな現在の音楽的な要求を踏まえた上で、こういう仕様になったんだろうな、とは思う。
複弦仕様になっているお陰で、独立弦クラビコードへの改造が可能ということもポイント。(ただしその場合は単弦での使用になる。)ハッキリとは書かれてないが、これも想定範囲内の使い方のはず。
こういう具合で、オリジナルの古楽器に忠実ではないものの、よく考えられた楽器だな、と思います。
古楽 チェンバロ