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ショパンの住むシテ・ドルレアンは・・パリの美しい界隈プロバンス通りの裏にあった。ゆったりとした中庭付きの広々とした真新しいアパルトマンで、瀟洒な外観をもち、パリの価値観がすべてを「エレガンスな」と形容するのにふさわしい住居であった。
玄関で、私は『通行許可書−^^−フランツ・リスト』と書かれたリストの名刺を召使に差し出した。奉公人を持つことは、パリでは贅沢の証である。ましてや、芸術家としては破格の存在だった。
召使は私に、ショパンはパリにいないと言った。私は騙されずにこう答えた。
『この方の名刺をご主人にお渡しください。ご懸念には及びません。』
やがてショパンはその名刺を手にして、姿を現した。・・・
『何のご用でしょうか?貴方はリストのお弟子さん?音楽家なのですか?』
『リストとは友達です。貴方に師事を仰いで、マズルカに親しめればと思いまして。マズルカは、立派な文学として・・・、実はリストのところでも何曲か練習してみて・・・』
『はあ?』「しまった」自分が失言したと気づいたが、時すでに遅しであった。
ショパン愛想ばかりはよいけれど、いささか間延びした声を出した。
『それでは私はどうしたらお役に立つのでしょうか。一つリストと練習なさった曲を、私にも聴かせてくださいな。まだ少し時間がありますから』
いささか気まずいことになったが、私は通された部屋のピアノにつかつかと近づき、落ち着いてピアノの蓋を持ち上げた。そして、パリでは最も鍵盤の軽いショパンの愛器プレイエルに向かって、
『浅瀬の深さを探ります』と言いつつ、和音を鳴らした。
この言葉と行為はどうやらショパンのお気に召したようだ。相好を崩してピアノにもたれかかると、人の心を見透かすように、まっすぐに私の目を覗き込んだ。・・・私は意を決して、リストから異稿のあることも教わっていたマズルカ変ロ長調作品7の1を弾き始めた。
我ながら上出来で、2オクターブにわたる跳躍は今までになく巧くいった。ピアノも、自分のエラールよりずっと反応がよかった。ショパンは親しみを込めて、こう囁いた。
『あのパッセージは貴方の考えじゃないでしょう。リストが教えてくれたのですね−−−あの人ときたら、あたりかまわず自分の爪あとを残したがるのですから。彼は数千の聴衆を前に弾くのです。私はたった一人のひとのために弾くことすらまれですよ!よろしい、レッスンして差し上げましょう。でも週に二回だけですよ。・・・』
彼は次のレッスン時間を確認するために時計に目をやった。
『ところで、どんなものをお読みですか?普段は何をされているのでしょう?』
こんな質問なら私にも準備ができていた。
『ジョルジュ・サンドとジャン=ジャック・ルソーが・・・好きなのですが。』
ショパンのにこやかな笑顔は、実に美しいものだった。
『リストにそう吹き込まれたのでしょう。貴方は彼から秘伝を授かっていらっしゃる。結構な話じゃありませんか!時間は守って下さいね。・・・ なるほど、リストの推薦も捨てたものじゃありませんね。貴方はリストが寄こしてきた初めてのお弟子さんです。彼と私はこの前までは同業者でしたが、これで仲間になれたというわけですね?』
ルービンシュタインのマズルカのCDを購入した。正直「ホッと」した。舞曲のリズムを感じたから。これまでアシュケナージュの演奏を聞き続けてきたので、時に『舞曲なの?』と思うことがなんどかあった。
ショパンに会うことは、当時、極めて難しいことのようだったようである。レンツはリストの紹介があって、初めてそれが可能となった。貴重な体験である。おかげで、ショパンの美しいお弟子さんたちの様子がわかる。レンツは「その他多数」の令嬢の中でも、「際立って美しい」ロール・デュプレ嬢にお近づきになれたらと思っていたようである。きっと、冠頭の写真のような女性だったかも知れない・・・。
作曲家 チェロ