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2月の末に二期会の『ヴァルキューレ』公演がある。二年ほど前に、メトの日本公演があったが、実に10年ぶりとか。まだ先などと思っていたが、年明けから急ぎ、徳島大学の石川先生から頂いた直訳台本を片手にCDやDVDを視聴し始めた。
今回の公演は『ホントに全3幕をやるのだろうか?』と半ば疑いを抱いていた。休憩時間を入れるとおそらく5時間近くなるはずである。『フィガロ』は3時間程であった。
長い演奏会は、先日Muse川崎でマーラーの第9番を拝聴させてもらったが、こちらは85分、休憩なし。案の定,途中で20・30分ほど居眠りをしてしまった。5時間の長丁場を「いかにして眠らずに過ごせるか」を考えている。『ヴァルキューレ』は『指輪』シリーズの中でも、最も「人気が高い」と云われているようだが。原文台本を読むだけでもしんどい。第一幕に力を入れようと思う。
さて、第一幕は、行き別れの兄妹の再会と「近親相姦」が演じられるが、後の展開を考えるとブリュンヒルデの夫となるジークフリード生誕の由縁が語られているのだろう。ずる賢い神々の長ボータンは、「権力の象徴」たる「指輪」を手に入れんがために、「人間の英雄」を自分の最愛の娘で「釣ろう」としているように思える。いささか姑息な手段と云うべきか。
それはともあれ、第一幕の兄妹の再会のシーンはオケの美しい旋律と『二人の語らい』に惹かれるものがある。有名なショルティー指揮のCDを何度か聴いて、とくにジークリンデ役のRegine Crespinの透明で明るい歌声にまことに驚いた。しかし、不思議なやりともある?
『水!水!が欲しい。』
『いま、汲んできてあげるわ。』
『さあ、お飲みなさい。これで生き返りますよ。』
”Wasser,wie du gewollt!”(The water that you wanted.)
<中略>
『由緒正しき若者の客人に相応しく、出迎えに
秘蔵のお酒など振舞いいたしましょうか。』
『杯をお持ちしました。これを飲み干されて下さい。』
『(身に余る光栄。されど)先にお口をつけて頂けまいか。』
”Schmecktest du mir ihn zu ?”(Will you taste it first?)
汲んできた水を薦めるジークリンデ役のCrespinの声は、正に「天女の囁き」のごとくであるが、ジークムントは、続いてジークリンデが好意の印に運んできた蜂蜜入りの酒を「先に味見してほしい」と云うのである・・・。台本の訳だけみていると、いかにも不可解な言葉である。
ジークフリートに如何なる猜疑心が湧いたのかとつい思ってしまう。しかし、バックのオケの旋律にはそんな気配は微塵もなく、甘美一色のものである・・・。
これとは対照的に、第一場の後半にもういちどCrespinの「天女の声」が囁かれる個所がある。
『あのたの名前は、本当にヴェーヴァルトと云うの?』
”Wehwalt heisst du fuerwahr ?”(Are you really called Woeful ?)
<中略>
『それじゃあ、愛するあなたに呼び名を差し上げましょう。』
『ジークムント、そう、それで良いですか?』
忽ちにして、恋に陥ったジークリンデはちょっと前までは、
『しばらくここにとどまり下さい。
不幸(な女)の住む家に、
あなたが不幸を持ち込むはずがありません。』
と悲しげに呼びかけていたのである。
Crespinの天性の明朗な声の響きは、私には、粗暴な夫フンディングの下で奴隷女として虐げられてきたジークリンデ役には、多少不似合いなものを感じるが、『されどその鈴の音のような声に、忽ち、わけも解らず魅了される』のである。
作曲家 チェロ