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『・もしグルックのオペラが最近は”博物館行き”なってきているとすれば、《イドメネオ》のみならず、モーツァルトのオペラが次々とそれに倣うのは時間の問題ではなかろうか。・・・
《後宮からの逃走》は・・”プリマ独演の”オペラのファンは、このオペラを救うのに全力を尽くすであろう。・・より人気のある作品、《フィガロ》、《ドン・ジョバンニ》、《コジ》は・・・イギリスでよく知られている・・、モーツァルトらしいというか・・オペラ・コミックスタイルの作品・・・
《皇帝ティトゥスの慈悲》は書かれたときにすでに”博物館行き”の古めかしいオペラ・セリアである。そして《魔的》は全く異なったタイプのオペラで、・・・それはドイツ語で書かれ、はるかに次元の低い聴衆のためのものではあったが、おそらく最初から”大衆”めあてに書いた音楽としては唯一の、偉大な傑作である。
イギリスでも《魔的》の人気は高まりつつあるが、《フィガロ》にはまだ及ばない。・・・』
著者は1913年に《魔的》の英語上演に際して、その翻訳を手がけたデントという人である。モーツァルト研究家として著名な石井宏さんが、この本を訳されているが、
『本書の最も大きな特徴は、19世紀の間に発達し、今もわれわれを拘束している、ドイツ的、弁証法的音楽美術ないし音楽史観を離れて、直に18世紀のモーツァルトに迫ろうというところにある』との事。
いささか仰々しい話であるが、極東の「にわか雨」ほどのオペラファンにとっては、『えっ!?モーツァルトのオペラって、50年前には”博物館行き”になるって思われていたの。』である(_↑_)。
それはともかく、モーツァルト自身の最愛のオペラは《イドメネオ》らしいのだか、この著書を読んでもその理由は「定かならず。ウーン!まだ納得できないなー」と思う。
私はDVDでしかこの作品を観ていないのだけど、オペラセリアで、若い王子が、父が神とはたした約束だからというので「進んで犠牲になりましょう」というストーリーの何処が「モーツァルトらしい」のだろう?音楽も硬質?
他でもない、「モーツァルトらしい音楽」は聞き出すと色々ある。でも、「モーツァルト自身が愛したというか、これは胸を張って自慢できる」という作品を開陳した演奏会だのレコードだのはあまり聞いたことがない・・・?
作曲家 チェロ