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アルター・エゴ・現代音楽アンサンブル 2007年3月3日

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3月1日にビチコフ指揮のケルン放送響の公開プローベを見て、二日にラジオで全曲を生放送したので、三日土曜日のアルター・エゴ・アンサンブルの公開演奏会は梯子することなく全部聴く事が出来た。

普通ショエスタコーヴィッチの5番は絶対本番に行きたくないので、今回の木曜日の公開練習が生初体験となった。ビチコフ指揮のケルン放送響のショスタコーヴィッチの交響曲も全集になるらしい。先駆者のバルシャイがあるだけに、これを超える演奏となるととても難しい。ビチコフもどちらかと言うとメータのように筋肉質で力で押している演奏なので、悪くないとはいえても必ずしも合っているともいえない。練習のスピーチで第三楽章を三日で仕上げたと語ったところで知らない聴衆はどれだけいただろうか?指揮者としてこれより深くは入れないのが限度なのか?

アルター・エゴはイタリアのローマからの客演。8時からのジェニファー・ワルシェのA・Sensitive・Number・For・The・Laydeezはアイルランド人でイギリスで学んだ若手。4人の奏者は事実上のアド・ホック・アンサンブルで自分の楽器はほとんど使わない。いままでのバートウイッスル的な特殊奏法のない、無調の音楽にさらされてきた私たちにとっては、新鮮に聞こえる音楽である。

サルバトーレ・シャリーノはいまやベリオ・ドナトーニ・ノーノ亡き後のイタリアを代表する第一の作曲家となってしまった。Lo・Spazio・Inversoは決して代表作とはいえないが、最近の彼の作品はどんなに無名でも最低の水準を保証してくれいつも安心して聴ける。

アルド・クレメンティは十数年前作曲者同席でシュトットガルトで管弦楽の実演を聴いたとき、なんて保守的な作曲家と思ったが、今回のピアノのためのFrammentoはプレペアードしているので必ずしも保守に属するわけではないらしい。

ステファノ・スコダニッビオはやはり十数年前作曲者をシュトットガルトに客演講師として、ラッヘンマンが連れてきたコントラバス奏者でファニホーの作品を「聖書」と崇める崇拝者。当時の自作のコントラバス曲は印象に残らなかったが、今回のバスフルートの為のRitorno・A・Cartagenaはフルートの研究を良く尽くされた文句無しのプロの作品。しかしワルシェやバウクホルトと同じく繰り返しがかなり多いので飽きられる危険性は残っている。

委嘱初演作品のドイツのハラルド・ミュンツのDietro・Aventiは精気のなさ新鮮味の無さで再演はもう聴きたいとは決して思わない。自国の作曲家の最優先の為か?

最後のリカルド・ヴァリーニのSerenadeは後半がポピュラー音楽化しているので受けやすいが、今の時代にとっては引用であったとしてもかなり古い技法になってしまった。

後半の10時からのエマヌエレ・カザーレ作Conposizione・Per・Cinque・Strumentiはかなり凡庸で整理のつかない音楽と思ったが印象が弱く余りはっきり思い出せない。

ルイジ・チェッカレーニのテープとバスクラリネットのBirdsは整理がついているが再演を聞いた場合、恐らく内容的に不満が残るかもしれない。

故フランコ・ドナトーニのピッコロとチェレスタ・グロッケンシュピールのためのAveは、所謂「名匠」の作品であった。内容的にはメシアンの晩年の作品群より高く評価してよいと思う。イタリアのメシアンとして知られダルムシュタット来るイタリア人の弟子たちはノーノでもベリオでもなく皆彼の洗礼を受けていたのが印象に残っていた。結局彼も最後には立派な巨匠になっていた。

オランダ人のミシェル・ヴァン・デア・アアのOogはいつもの「アア」。彼は北欧的でお南欧色彩的ではないのが自分の趣味としてはいつも不満だ!

最後のアメリカのディヴィット・ラングのCheating・Lying・Stealingは恐らく10年ぐらい前にドナウエッシンゲンで聞いたことのある嫌なミニマル音楽。ポピュラー性はあって受けるかも知れないが、こういう現代音楽祭では最後に聴き直しはしたくないほど前半が高水準だったのに、全部壊されてしまった!

 作曲家 指揮者 現代音楽 ピアノ 交響曲


日付:2007年03月05日

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