Shigeru Kan-noさん
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7時にいつものように解説があってシベリウスのニ長調の第二交響曲の簡単なアナリーゼ。核になるのは最初の順次進行の音階が全楽章に使われていること。これは意識したかどうかはともかく、ベートーヴェンのニ長調の同じ第二交響曲と全く同じである。しかし音楽の内容は全く違う。第二主題への経過句はブライトコップフの自筆による新版ではなく原稿版を使用。アドルノがフィンランドの湖のような穴だと笑った個所である。笑えるかどうかはともかく、それが現在では独特の個性と一体化している。次の話はエストニアの作曲家のアルヴォ・ペルトの第三交響曲。ランディーニカデンツがあるというが、これは日本では音楽史ではランディーニ終止のことであろう。最後にグリーグの叙情組曲作品54について。作曲者の編曲はこれだけだが、この曲集全10集はよくドイツの音大の管弦楽法のレッスンに使われている。ブラームスのハンガリー舞曲やドヴォルザークのスラヴ舞曲・リストのハンガリー狂詩曲と共にオーケストレーション・コンクールでも開いて入賞曲を演奏して出版したら良いアイディアとはならないか?未だに日本語版ウィキペディアに全10集の解説が無いのは残念である。
演奏の方はこの逆の順序でやられた。この指揮者は所謂下手な棒だが、エッシェンバッハと同じくテンポだけは最終的に納得させられる。音の分離も良いが管弦楽の艶を出させるまでの仕込みはまだ無理なようだ。
第二曲目のアルヴォ・ペルトの第三交響曲は最初ヤナーチェク自身で始まるが、最終的にはグリヤ・カンチェリで終る30分弱の単一楽章の音楽。圧政ソヴィエト出身の1935年生まれの特有な様式か?数年毎にラジオでこの人の第一交響曲を聴いたときのセリエル的なラジカル性に興味を持った物だが、同じく「ヨハネ受難曲」では何度も失望させられた。この3番は過度期の作品といえよう。クラウス・フーバーがベルリンに本人に会ったとき質問したには、「何であなたの作品はああいう音になるの?」に対して「黙って天の神を考えればこう言う音になる」といわれフーバーは噴出した逸話がある。
最後のシベリウスの2番は少し早めにテンポでリタルダンドすべきところもしないで突き進む。第二楽章は充分に劇的ななるがテンポは機械的に進み、棒は弦を振っても管を振っても同じ表情である。三楽章のコーダに入ってようやくテンポが緩やかにするという操作が入った。終楽章はやはりかなり機械的なテンポだが、劇的ではある。コーダは金管が充分に鳴ってがいるがティンパニの音を変えて4個で叩かせた。それがこの曲全体の表現に貢献しているかどうかはまだわからないが。
菅野茂
作曲家 指揮者 現代音楽 ピアノ 交響曲