Shigeru Kan-noさんのブログ(日記)〜クラシック音楽の総合コミュニティサイト Muse〜

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ユルグ・ヴィットマン「鏡の中の顔」、デュッセルドルフ・オペラ、4月23日

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指揮がコーバーで振れるが特に切れが良いほうではない。演出はグレゴール・ホレスで舞台全体の規則の無い速い危険を感じる浮き下がりや前面に張る「水」が見事なスペクタクルを楽しませてくれる。

物語は「ある」が無いに等しいような詩的な文章。現代の会社を舞台にした「話」。ミュンヘンのクヴィエス劇場と共同制作で去年初演したやつを改定してここに持って来たしい。演奏時間は2時間たっぶりだが、いつものように聴衆に逃げられないように休み無しの缶詰状態でも公演でその最終日を見る。それでも3・40人は耐えられなくなって怒って出ていった。それでも5割の入場率はあったと思う。

主役の登場人物が4人しかいないのは簡潔だ。普通の歌唱でそれ以外はシュッタティストと特に客席の後ろで歌われる子どもコーラスの働きをしている。

このオペラで特徴的なのは管弦楽の伴奏が凝っている点だ。プレペアード・ピアノの内部奏法の連続、バンジョー・ギター・マンドリンの打楽器奏者のよる弓によるアルコ・ゲロイシュ、声に出さえも部分的にライヴ・エレクトロニックの処理をしているようだ。クラリネットの奏者がやる作曲の典型でコントラバスクラリネットがいろいろな特殊奏法を見せびらかすのもここの典型。アコーディオンはロルフ・リームのオペラ:「黙ってしまったサイレン」からの引用か?意外と題名が謎めいているのは似ているしカデンツの輪郭も時折入っている。管弦楽の伴奏の間にはテープ・パソコン演奏が入る。さらに携帯電話たちの騒音は現代の会社物語らしい。多くの弦と管楽器奏者はR・シュトラウスの「影の無い女」を思わせるグラスハーモニカなどの簡易打楽器やオルゴールなどの付加楽器も打楽器奏者でなくとも奏するので、へルツキーのオペラ:「ブレーメンの自由」のような大掛かりなスコアリングになってしまう。

全体的な音楽語法はモーリッツ・エッゲルトのオペラのような行き方で、ジャズなどもありの書法である。ミュンヘンでウォルガング・リームが植えつけた何でもありの書き方である。俗にみゅンへの様式?舞台は全体が変則的に動き回るだけでも見ものだが、パフォーマンス由来のいつもの絵描き教室も入っている。

このオペラの再演には反対しないが、その力作的な大掛かり性がその上演を妨げるものとなろう。


菅野茂

 作曲家 指揮者 ピアノ 現代音楽 交響曲


日付:2010年04月26日

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