Shigeru Kan-noさんのブログ(日記)〜クラシック音楽の総合コミュニティサイト Muse〜

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5月6日の無料公開練習とデュッセルドルフのフェルドマン:ナイザー

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どうもビチコフの最後の公開練習らしくていつものようにR。シュトラウスの「英雄の生涯」全曲という大サーヴィスをしてくれた。これは昔ウィーンで聞いたカラヤンとベルリン・フィルが忘れられない。当時はもう晩年で全盛期にはかなわないが、それでも昔NHK・FMの生中継で聞いた感動が残っているので、それが実演と重なってしまうのだ。この曲は良く他の曲の代演として使われる音楽である。日本公演のときは家庭交響曲で病気になったオーボエ・ダ・モーレ奏者の代わりとして、ウィーン公演の場合は新しいイラン人のコンマスの試験としてアルプス交響曲を取り下げて使った。去年だったかアマの早稲田のオケがボンに来て無理やりこれをやったので、今回の耳直しにはもってこいの曲目である。それ以外で聴いたのはブロムシュテットがシュトットガルトに来たときのシューベルトとの6番との組み合わせの鮮やかな本番ぐらいだろうか?細かいことまではよく思い出せない。

今回のビチコフはもう何回もやったらしく良くもあり悪くもあり、ロシア的でもあり、ドイツ臭さも残ってなくは無くもあり。自分だったらもっと詰められ、弦の高音を合わせ柔軟に柔らかくする、ティンパニの連打を早くする。ワーグナー風の金管にもっと幅広さとつやを出す、ハープは聴こえないのでカラヤンのように前に出すとか欲望が沸く。それでもヴィオラやホルンは優秀である。その他の問題はテンポの変化か?やはり再現部の前はリタルダンドでブレーキをかけて欲しい。その場合はその後幾分テンポを落として魂を充足させて欲しい。最後の低音のトランペットの低音のEbはどうやって出すのか今もってわからないが、出ていたようだ。あのヴェルディのレクイエムを思わせるように、子供の少々のつぶやきや泣き声はもちろんOKの演奏時間47分の出血大サーヴィスだった。帰りに2000人の無料聴衆全員が弁当箱に入ったランチを貰った。今回のトリエンナーレの協賛のライン・エネルギーと水道会社がたぶん金を出す代わりに聴衆に昼食の提供をしたのだ。

夜はそれではなくてデュッセルドルフのフェルドマンのオペラの「ナイザー」を聴きに行く。SWR・FMでもWDR・FMでも即評価され話題がいっぱいの筈のバレエ公演だったらがそれでも入場率は60%ぐらいだったであろう。金もいつもの様に膨大にかかるので來シーズンはもう取り上げないで4回ぐらいで消える運命にある。ヴィッドマンのオペラの様に途中で数十人は出なかったが、上演中数人は静かに退席して行った。前半は生のピアノ伴奏でポップス調のバレエを二曲やったが、ウィーンのオペラみたいに音楽をテープで流されるよりも好感がもてる。中でも2曲目のラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」はコスチュームの面白さで光っていた。

休みの後の後半はその「ナイザー」といわれるアンチ・オペラに振付けたものである。ソプラノを含む音楽はすべてピット内で奏されたが歌がかなり弱い。音楽自体が静かなのでバレエの雑音が直接聴衆にやってくる。舞台そのものは昔ウィーンのブルク劇場で始めて見た、アーヒム・フライヤー演出のディーター・シュネーベルの2時間40分かかるパフォーマンス「メタモルフォーゼン・デス・オビド」に習ったような、舞台でそれぞれのグループがお互いに関係なく独立して踊る物語に徹底して、やはりこういう現代的スタイルは好感が持てる。ティンパニは最後に8個音があるのに7個しか用意していない、弦は66543に絞っていたが全部の音が聞こえてくるのかどうかは不明。スコアを見ると分割は少ないが、シュトットガルトの「兵士たち」のDVDの様にコントラバスに8個の音が与えられているのに、現代音楽だからわからないと思って生では7本に絞ってやっていないだろうか不安でしょうがない。スコアを持っているとそういう所まで見えてくるのでごまかせない人には絶対ごまかせない。とにかくCDと楽譜でちょっと予習をやったせいかフェルドマンの深く壮大な音響が見えてきた。死の淵の音楽!58分35秒。

 作曲家 指揮者 ピアノ 現代音楽 交響曲


日付:2010年05月07日

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