Shigeru Kan-noさんのブログ(日記)〜クラシック音楽の総合コミュニティサイト Muse〜

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120. アルフレード・カタラーニの「ラ・ワリー」、デュッセルドルフ、6月3日

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このオペラは昔から名曲解説全集などに記されていたけれども実演はこれまで一回も見たことが無い作品である。

いつものように開演30分前に解説がなされていたが、既成の解説書の範囲を出ることは無かっが、まずはこのオペラによる知識の享受からである。そのためには奇怪な演出では困るので、一応どう書かれたのが台本どおりの演出が求められる。

このオペラはイタリア・オペラではあるが、台本の場所設定がオーストリアのチロル地方である。したがってイタリア式の声の美の競演よりもドイツ風の中身が充実した重い音楽でも機能するはずである。結果はそれは今回の演奏解釈だけかもしれないが、ドイツ・オペラとイタリア・オペラの相の子ような音楽が鳴っていた。更に第一幕にはイタリアのセンロマンは譲りの声のカデンツァが響いていた。どちらかに徹底していないという点では不満である。しかしこういう素材は作曲者がワグネリアンでもあり、イタリア・オペラながらドイツの歌劇場にもしっくりと適応する内容でもある。

開演前の解説では時代様式的にヴェルディとプッチーニの中間に位置するといっていたが、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」やその一年後のレオンカヴァロの「パリアッチ」のようなイタリアオペラの伝統の継続性は無い。いったん伝統の流れから逸脱してドイツの物語の中に逸脱し深呼吸したような作品である。ヤナーチェクと同じ世代ではあるが印象派の域にも達していない。あたかもイタリア人が試しにドイツ・ロマン式のオペラを書いて見たという感じの音楽であるが、メノッティーのような少し前の印象派のコピー丸出しのような様子は特に感じられない。しかしながらイタリアオペラらしくところどころにフェルマーターが多用されていたが、不必要なので演奏者によってことごとく無視されていた。

演出は一応台本に沿っているが大道具が予算難のために始終使いっぱなしである。一番成功したのは最後の雪の場面。雪崩は難しいので雪の橋を割って壊すことでそれを表現。指揮のコルティはシュトットガルト時代から知っているが、デビュー当時は良かったとしても、シュトットガルト・プレミエの「シモン・ポッカネグラ」は演奏者が拒否するほどの酷い指揮でスキャンダルを巻き起こし、それでもカーザースラウテルンのGMDにはなったが、今回の指揮も曖昧でで、更に棒を小沢さんのように持たなくなってその曖昧さは極端になり、歌手のアインザッツや楽器の不揃いが普段よりも多めに出ていた。こういう誰も知らないオペラは、よほどの練習時間が取れない限り、流行だからだといって人真似である棒なしでやるべきではない。

歌手は特に男性陣が最初だけではなくて最後まで低音になると聴こえない。ワリー役はさすがに聴こえるが、よその歌劇場だったら脇役の実力であろう。

とにかくすべて二流どころを綺麗に集めた演奏となった。前回の「トスカ」の様に本場イタリアでは興行では使えないような人たちだけの出演となった!

 作曲家 指揮者 ピアノ 現代音楽 交響曲


日付:2011年06月05日

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