Shigeru Kan-noさんのブログ(日記)〜クラシック音楽の総合コミュニティサイト Muse〜

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プロコフィエフの「戦争と平和」ケルン、9月21日

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この作品は出演者よりもレパートリーで行く。聴衆が8割前後で途中で怒って出て行った人もいたが、ドラマトゥロギーの勇気に感謝。あのシュトックハウゼンの「日曜日」が最高価格のチケットが売り切れて大赤字のケルン・オペラも捨てたものじゃないことが良くわかる。

この曲は我々がサンクト・ペテルブルクのゲルギエフのヴィデオで知っている。カット無しでやると4時間かかるとんでもない大作であることがわかっている。この規模はベルリオーズの「トロイ人」、ロッシーニの「ウィリアム・テル」、マイヤベーアの「ユグノー教徒」や「預言者」と同じく大グランド・オペラのスタイルである。しかし実際の上演はカットすることが非常に多く、大体オケのギャラが倍にならないように3時間前後に縮めてしまうのが常である。今回もその方向であるけれどもやはり「ホヴァンシチーナ」の様に長いのできつい。この曲のカットが容易なのはワーグナーの「ワルキューレ」のような一貫性を持った有機体ではなくて、それぞれ小さな曲のばらばらな組み合わせのためである。作曲者自身の台本にもかかわらず、トルストイの原作の第一部のほとんどを削りオペラ用に脚色したものであって、必ずしも各部分が有機的に動いて全体に作用しているわけではない。

指揮はあの数日前に死んだ大クルトの息子、怒りっぽいトーマスの弟のミヒャエル・ザンデルリンクであるが、乱暴で未熟だがオケが問題なく動く程度の天才というわけではない。このオペラはまだどこでも見たことが無いほど演奏頻度が非常に少なく、代替が利かないし、大赤字のケルン・オペラを放って置けないので喪に服すも何も無いのであろう。

演出のニコラス・クリーガーはほぼ台本通りの演出。奥行き50m近いも後方も両脇も余すことなく使って広大なサンクト・ペテルブルクを表現していたのはゲルギエフのヴィデオと凄く似ている。ちゃんとセックス場面もあるが、極め付きはフランス軍兵士の死刑の場面。本当に首吊りに処する。それでも、トリックで首に縄をかけて吊っても力が体全体にいきわたる仕掛けだけれども、それに火を付けて燃やしたのは、もちろん火炎用の防護服で兵服を着ているのだろうけれども、ぞっとするほど圧巻である。

歌手はそのほとんどを東欧出身者で揃えているのでロシア語でも問題なく台詞までこなせる。字幕は小さすぎて暗すぎて見えなかったが、ここで始めてナポレオン軍側の歌唱が全面フランス語だということに気がついた。当時の上流階級のロシア言葉はフランス語から見て、こういうリアルなオペラを見てると、プッチーニの「西部の娘」の台本が英語でなくイタリア後で書かれていることがこっけいになる。

なお、30分前に解説があったらしいがプログラムに書いてないので聞き逃したが、GPが終わってからも更にカットしたらしい。それでもプログラムに予告されている第一部の105分が11分かかっているし、第二部はさすがに大鉈をふるって1時間に縮めていた。

3管編成の音楽の情景描写がショスタココーヴィッチの「時事映画音楽」に近く、様式としては第五交響曲の頃であろうか、コントラバスチューバのユニゾンが甘いデリケートな雰囲気をかもし出していた。合唱はフルに使いエキストラも大量に入っていてグランドオペラにふさわしい舞台展開だった。



9月22日の公開プローベ、ケルン・フィルハーモニー

今マーラーの8番の演奏合戦がはやっている。先週はベルリンフィルだったようだ。12月にはやっとNHKホールをフルに活用できるようにN響でもやるようだ。1000人も必要なので普段できないためマーラーの記念年ぐらいは派手にやろうというのは頷けるし、それはドイツも例外ではない。

自分はこの練習は東京文化会館で山田一男が新響でやったのを忍び込んだことしかない。彼が「さて、どこやろうかな!」と準備をしてなくてみんなを笑わせたのが今でも記憶に残っている。本番は一回だけシュトットガルトで聴いたことが無いが、そのときはチケットが無くて、怒った群衆がチケット・コントロールを押し倒して会場の中になだれ込むのに加わって、そこで大騒ぎできないので演奏が仕方なく始まり、そのまま終わりまで行ってしまった。最近はここではこれをやると必ず売り切れになるようだ。今回もそうで残念だがもっとやって欲しい!

さて公開プローベのほうは第二部のソリストたちの場面だけを全部抜き出してやったもの。ぺトラ・ラングはバイロイト以来5年ぶりに会う。ハープは男性を一人含む4人だかそれでもピアノや2台のチェレスタにかなわない。ここではハープ二ストを数人集めると日本は全部女性だがドイツでは必ず一人は男性が入っている。さすがに男の弾くハープは力強く聞こえる。

16型の第一ヴァイオリンの後ろに座ったが、このホールは必ずも音響的に合わせ易いとは言えないようだ。要は意外と前のヴァイオリンの音が聴こえてこないので合っているのかどうか余りわからないので音全体が硬直してしまう。これでこの楽団は5番、6番、8番と聴いたことになる。

それにしての昨夜3時間弾きっぱなしで、今日はもう9時から平気な顔してマーラーに座っている楽員の体力は凄いものだ。日本の様にバイトなどの内職やってたらできたものではない。

 作曲家 指揮者 ピアノ 現代音楽 交響曲


日付:2011年09月23日

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