Shigeru Kan-noさん
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152.
12月13日、ケルン
何時もの木曜日の昼の公開プローベはクリストフのWDRでベルリオーズのこの代表作の4楽章と5楽章を通しただけ。20年前のエッシェンバッハはウィーンにいたときカミの力でシンフォニカーを振って練習が酷く本番もそのすぐ後に日本に持っていくはずの最後の「エロイカ」交響曲が始まる前にとても気持ち悪くて休憩で会場を出たものだが、今回も当時と同じように指揮は下手なまま治らない。
ところがこの指揮者はNDRになったことから音楽性がぐんぐん上昇して、その異常性がクラシック音楽にどんどん合ってきてトップクラスの表現力になったのは記憶に新しくない。最初こそは棒の通りにNDRもバイロイトも大きくミスして見せたが、これを完全カットした状態での音楽が明確に見えてきたわけだ。
「幻想」も例外ではなく音楽の本質をまざまざと見せてくれて、中でもうれしかったのが普段聞こえないパートも強調して見せたことである。トランペットはナチュラルだが弦はピリオド奏法ではないらしい。ロマン派ではもう効果が薄いが正論である。しかしこの割れた自然トランペットは成功した。
夜の現代音楽は最近はまず45分前に解説が付くようになった。出てきたのはカリツケだけで自分の曲の言いわけ。なぜクロスオーヴァーを求めていないのに西洋音階とアラビア音階を一緒にそうするのか意味がわからず。次に出てきたのがマンフレッド・シュヴァバという映画製作者。何か汽車の食堂車が好きでそこで風景を写しながらジェームス・クラーケのオーボエ5重奏曲を演奏しているが時々真っ暗になるのはフィルムを切り忘れたのか?
8時からのコンサートはサルバドーレ・シャリーノのIntroduyione all´oscuro。1981年の古い作品だがもう今日の現代音楽からの巨匠の脱出法を知っている。次のベアト・フーラーは最新作。もうラッヘンマンの影は見るべきも無くてよくシャリーノを研究している。3番目のジェームス・クラーケはその解説で映画と一緒に聴いたつまらないサウンド・トラック。作曲者が来ているのならば解説にも少しは出てくるべき。
後半のアガタ・ツーベルはポーランド人。ここでは作曲者が歌っている。歌手で無いので楽器の威力が大きい。最後はそのカリツケの最新作。何時ものカオスで何も出てこない曲。この人は指揮者としての知名度ばっかり上がって作曲コンクールの洗礼を十分に受けていないのでこのような粗雑な曲になるのであろう。ここではそのアラビア音階もハンガリーのラッパ・ヴァイオリンも物知り風に全く出す意味がなかった。
クラング・フォールム・ウイーンは昔シュタインに呼ばれたときは呆けてトロかったが、その後客演し汽車のツェンダーやカンブルランに鍛えられて鋭く成長したらしい。もうすぐファニホウも夢ではない?
作曲家 指揮者 ピアノ 現代音楽 オペラ∩声楽曲