Shigeru Kan-noさんのブログ(日記)〜クラシック音楽の総合コミュニティサイト Muse〜

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157. ケルンの「ネジの回転」

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Mi 20. Mär. 2013 http://www.operkoeln.com/programm/68539/

Trinitatiskirche/20:00 bis 21:50/ SP
Musikalische Leitung Raimund Laufen / Inszenierung Benjamin Schad / Bühne Tobias Flemming / Kostüme Annett Lausberg / Dramaturgie Georg Kehren / Licht Andreas Grüter
Der Prolog
John Heuzenroeder
Die Gouvernante
Claudia Rohrbach
Miles
Juls Serger (Solist des Knabenchores der Chorakademie Dortmund)
Flora
Ji-Hyun An
Mrs. Grose
Helen Donath
Quint
John Heuzenroeder
Miss Jessel
Adriana Bastidas Gamboa
Orchester
Gürzenich-Orchester Köln

このオペラは現在は使われていない市内の三位一体教会を借り切ってやっているので、教会オペラでも構想された可能性がある。管弦楽の編成が1管でソリの弦なので狭い教会にも入ってしまうので十数名の室内楽である。それですでに指揮者の場所は無くて別室で振ってTVで引っ張ってきて合わせる手法は一昨年TVで見たバーゼルの「ラ・ボエーム」と同じである。バランスはわからないが結構合わせられる。

問題の舞台は教会の椅子を縦に並べ替えて中央に長いテーブルのような舞台をこしらえて演じられる。歌手はモニターから見える指揮に合わせられるがプロンプターは無いらしく、かろうじてドイツ語に訳された字幕に従う程度であるが、英語なので直感的に問題が無いのかもしれない。

何しろ普通の教会なのでいろんな制約が多すぎるが、それでもアマチュアのミュージカルや演劇をはじめ特にアドヴェントでは生誕劇を中心として良く演じられることが、単なる宗教音楽のコンサートや礼拝所だけではない教会活動の活性化を促している。それが更に別な意味での芸術至上主義になって大きくなったのがスイスのドルナッハの人智学の本部の建物であろう。外観は何らかのやらしいセクト:新興宗教の総本部のようだが、中で演奏して見るとわかるように、実際には祭壇も偶像も何も無く、あったのは演劇・パフォーマンス・コンサート・朗読・オペラに使える舞台だけのホールや劇場ばかりだった。それを持って宗教的にくだらない機械的礼拝の代用をして悟りを得、解脱するには最高の環境だった。

従ってクラシック音楽はすべてそのような意味を持つ。そもそも電気で増幅しないのが原則であるから食事はもちろん無駄話や踊りは礼拝所のように禁じられる。それがやはり日本の厳しすぎる消防法がオペラハウスまで及んできた酒や煎餅などが許されている定型的な娯楽を含む娯楽施設や歌舞伎座などとの違いであろう。更に他の芸能と違ってここに演奏時間の長さはそのまま人を座禅のような修行の真っ只中に放置される。特撮3D 映画のように舞台がひっきりなしに変化するわけでもないので、どんな演出に当たろうとも、どんなに派手で美しいコスチュームであろうとも、最終的には聴衆は音楽のみに集中せざるを得ない。

折から今年はブリテン生誕100年なのでそういうオペラが同じ生誕200年のワーグナーやヴェルディをよそに学校オペラを含めて集中的に取り上げられるのは当然である。彼のオペラは全部で16曲ある。確かにこのオペラは大衆受けはしないが、単純な繰り返しは少ないのでモーツァルトぐらいの味わいはそこらじゅうに出てくる逸品であリ、同じようにどこにでも手軽に上演されるが、必ずしもブッファのようなスケベ・オペラではなくて、何時もながらの同性愛人のピーター・ピアーズを想定した男声テノールがたくさん出場する男臭いが健康的なホモ・オペラの仕上がりである。従って筋は家庭教師と死というまじめで深刻な内容である点がワーグナーやヴェルディの悲劇の台本と似てもいる点がまじめである。

従って演出は地味で舞台の上に壊れた机とピアノがあるだけの2幕だが教会には休憩のバーなどが無いため休み無しの1時間50分である。プロローグが単なる語り手ではなくて教会の中らしく、牧師に扮して説教台から物語の説明を試みる。

歌手は家庭教師が絶品。韓国人の女の子供役も優秀、更に少年合唱団から抽出したボーイソプラノは、ウィーン国立歌劇場の少年合唱団でも出せないくらいのソリストと演技。

こういうところのオペラは脇役まで水準が揃っているのが常識である。反ってウィーンやメトのように主役のスター知名度が高すぎてギャラの大半をそこに使いすぎてしまって脇役としてとんでもない素人を出すのとは全然違う緊張した人選。

 作曲家 指揮者 ピアノ 現代音楽 オペラ∩声楽曲


日付:2013年03月21日

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