R.シュトラウス：アルプス交響曲　名盤：曲の分割による解析表情とテンポの変化解析、指揮者の解釈：ゆうじ（yuuji51）さんのブログ：Muse クラシック音楽のコミュニティ

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R.シュトラウス：アルプス交響曲　名盤：曲の分割による解析表情とテンポの変化解析、指揮者の解釈

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4. 6人の指揮者の解釈と表現の特徴
4.3　ケンペ
①ロイヤルフィル、録音：1966年4月27日、解析表情数：60
②シュターツカペレ・ドレスデン、録音：1971年9月、解析表情数：67

ルドルフ・ケンペ（1910年6月14日-1976年5月12日）は、ドイツの指揮者。主な経歴は、ドレスデン国立歌劇場（1949-1952年,音楽監督）、バイエルン国立歌劇場（1952-1954年,音楽監督）、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団（1961-1963年、1966-1975年,首席指揮者）、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団（1967-1976年,首席指揮者）、BBC交響楽団（1975-1976年,首席指揮者）など多くのオーケストラのシェフを務めたほか、客演としてベルリンフィル、ウィーンフィル等々多くの重責を担ってきている。
個人的には、彼の残した録音の中では、このアルプス交響曲、シューベルト「ザ・グレート」などが印象に残っている。今回のアルプス交響曲の録音は、記載の２演が残されており、両者とも評価。

ケンペの特徴（図3-1～4）

’66年録音(①)もよい演奏ではあるが、’71年録音（②）が圧倒的に素晴らしく、以下の内容は主に②について記載する。
’71年、SKD：
第１部、各パートの響きがよく、かつ各バランスも良好で、明確な楽曲表現を実現。アルプスの情景表現はバランスの良い分厚い響きにより壮大で多様な状況が見事に表現されている。登山者の状況・情感が加わる山登りでは強い意気込みと膨らむ期待感が感じられる。繁みでは、厳しさと癒し等の相反する多様な状況をうまくメリハリをつけて対比するように表現。登山者の情感表現もくどくならない程度に主要な箇所(Tr5,9-10)はテンポも変化させて、情感を込めて緻密に表現している。滝は多彩な光、草原はきらびやかで豊かな色彩表現、牧場はアルプスらしい穏やかな雰囲気の表現など一連の表情は絶品。林では、ややテンポを落として道に迷った戸惑いの不安の表現も上手い。岩壁は各パートの分厚い響きによりアルプスを象徴するような威容として強調表現。その厳しさを危険な体験に引き継いでいる。
第２部、頂上はゆったりとした情感豊かなObから、持続音を上手く使った表情(B)で、パノラマは大きく賑やかな表情(D)で、かつ感謝の情感の高揚も加えている。景観では、テンポを落として雄大な景観と感謝を一層大きく表現(B)。幻想的情感を挟んで、再現ではより一層の広がりを強調している(WBr)。霧ではテンポupし不安な緊張の表情。哀歌も同様の情感を重ねて継続。嵐へはテンポを落としつつ雄大なアルプスの自然の変化を強調表現している。
第３部、嵐-下山では各パートバランスよく、熱く緊迫したサウンドに圧倒される。日没は力強い動きを表現。
終結部、終末は感謝の情感が主体となっている。夜は、テンポを落としてゆっくりとした変化を表現し、終曲。
当演、アルプスの自然は多彩な表情を遺憾なく発揮し表現、登山者の状況・情感表現は、しつこくはならない程度にかつ十分な内容表現であり、アルプスの自然の表現と良好なバランスを保っている。サウンドも各パートバランスよく極めて緻密で表情も豊かな響く。以上、すべての要素がそろった名演である。
’66年、ロイヤルpo：
なかなか力強い表現。しかし、’71年録音の出来ばえがよすぎて、どうしても影が薄くなる。

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