ラグタイムの魅力!!!
ラグタイムの本来の魅力は、アフリカ黒人独特のシンコペーションを多く含むこと。そして、白人をも魅了したリズミカルなメロディーであること。ラグタイムはクラシックの枠を超えた大衆音楽として、世界初のポピュラー音楽の座を得ました。
当時、劇場へ出掛けなければなかなか聴けなかった音楽が、ラグタイムの出現で庶民にとってより身近なものとなり、酒場やサロンでも気軽に聴けるようにもなりました。
ラグタイムはクラシック音楽からすれば酒場の安い音楽なのかもしれません。超絶的技巧をいとも簡単に弾きこなす洗練されたクラシック演奏家達にとっては、その名の通り、ボロボロ演奏に値するのかもしれません。しかしながら、「愛の営みをかき消す音」とまでいわれるこの音楽は、いわば「人類誕生を歓迎する素敵な愛の調べ」なのです。
プランテーションのために連れて来られた奴隷の子孫達が、自由を勝ち取ると共に鍵盤上で指のダンスを楽しみ始めました。はじけそうな心の鼓動を表現した黒人達。それは、敗者復活戦から這い上がり、勝利を獲得するような苦悩を伴っての成果だったのです。
譜面に書かれた音楽でありながら、決して堅苦しくないスタイル。明るく軽快な、時には哀愁漂う曲調。ラグタイムは彼らが社会問題に面した際のはけ口であり、救いでもありました。そして、彼らは、自分達の惨めさや哀れさを白人音楽のパロディーで笑い飛ばしたのです。
後にこの音楽は譜面に頼らないジャズへと発展していきましたが、酒場の砕けた雰囲気やぐうたら娼婦、犯罪暦や偏見への反発・・・きれい事だけでは語れない波乱万丈の人生がなかったら、ジャズなんぞ生まれてこなかったでしょう。
上辺だけではなく、物事の奥深さを知り得たとき、人種を問わず人の命の尊さを理解できたとき、時の短さや人の夢の儚さを感じたとき、素直に負け犬になれる気がします。
完璧でないことに意味を持たせたとき、スウィングしないメロディーに躍動を感じたとき、オフ・ビートにときめきを感じたとき、ラグタイムという楽曲が心の奥底までしみこんできます。しみこんで、しみこんで、もう取れません。遂にはまってしまったのです。
たかが人生、されど人生、生きても100年そこそこ。私にはクラシックを第一線で奏でる力量はありません。ラグタイムという音楽に巡り合えて本当に良かったです。
この音楽の幅広さや奥深さに魅了されながら、私の敗者復活戦は進行していきます。ラグタイムは正に私のはけ口であり救いでもありました。売春宿のBGMであろうが、娼婦達の哀歌であろうが、何一つ恥じることはありません。大ホールの喝采より、酒場での出会い、世界的名声より、庶民的コンタクトに日々価値を感じます。この上なく素晴らしいジャンルの音楽に出会えたとをいつも誇りに思っています。
注:RAGTIMEMAはかつて、コンサート・ピアニストになろうとクラシックに励んでおりましたが、途中で挫折しました。
その後、幼少より馴染み深かった映画音楽、ポピュラー・ジャズを経て、ストライド・ピアノやドイチ・シャンソンの世界へとのめりこみました。1920年代の音楽です。
そして、ビリー・ホリデーを聴いて、ジャズを歌うことに目覚めました。それからは、どんどん時代をさかのぼり、ETHEL WATERS、SMITHもの(BESSIE、CLARA、MAMIE、TRIXIE)、IDA COX、MA RAINEYを聴きまくりました。ブルースやニュー・オリンズ・ジャズです。
最後にラグタイムと出会いました。譜面が読めて良かったです。初見でも難なく歌えます。しかしながら、暗譜するのは一苦労・・・・。
作成日:10/30 22:23 最終更新日:10/31 00:20
1件のコメント
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2007年10月31日 00時20分47秒
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