関西よりお便り
コンサートの御感想をお寄せいただきました。
御手紙の内容を一部抜粋
↓↓↓↓
『・・・すばらしい演奏を聴かせていただきました。
・・・中でもアレェクスェイの
“ラグタイム・ナイチンゲール”には感動しました。
来年もまた関西へお越しください。
楽しみにしています』
さて、この“『RAGTIME NIGHTINGALE』ラグタイム・ナイチンゲール”ですが、
これは SCOTT JOPLIN、JAMES SCOTT と並ぶ
ラグタイム三大作曲家の一人、JOSEPH LAMB の作品です。
この曲は1914年にStark Music Companyより出版された曲で、
Joseph LambのClassic Piano Ragに数えられ、学習難度は中。
楽曲のパターンはIntro A A B B A Trio Trio Trans B
とスコット・ジョップリンのMaple Leaf Ragに見られるような
AA BB A CC DD形式に幾分似ております。
表紙の絵に使用されているナイチンゲールの鳴き声の如く、
華麗、優美という言葉が非常に似合う
ものすごく美しい旋律がこの曲の特徴、
それでいて、どこかダイナミックで聴き手の心を捕え、
どこまでも魅了してしまうのがJoseph Lamb自身の個性、
鍵盤上で表現された彼の言うところの熟練された技、
クラシック・ラグ最高峰だったのでしょう。
また、ショパンのハ短調のエチュード『革命』や
Ethelbert Nevin (1862〜1901)というアメリカ人作曲家の
『Nightingale Song』 という歌曲(1899)の断片が借用されている模様、
更にアレェクスェイも最近弾いておりますが、
ジェームス・スコット(1885〜1938)の1911 年作
『Ragtime Oriole』にも多大なる影響を受けたそう、
当時の時代背景を想像しただけでも心が弾みます。
Joseph Lambはナイチンゲールの鳴き声を知らないと申しておりましたが、
とにかく鳥の鳴き声のようにこの曲を響かせたいという一心だったようです。
特に彼にはアカデミックな音楽的教養がなかった為、
ハーモニーに関しても何ら込み入った論はなく
ただただ自分の肥えた耳だけを頼りにこの曲を仕上げたとのこと、
特に当時のラグには見られないような
ブルージーな、メランコリーなフレーズを多用し、
セブンス・コードのインターヴァルを取り入れたのもラムの特徴そのもの、
究極の美しい和音をひたすら追いかけた稀なラグタイム作曲家として
これからも人々に敬愛されることでしょう。
この鳥の鳴き声に感銘を受けたかつての人々の様々な想いが
ピアノの音色のさえずりに変わり今日に残っているわけです。
環境汚染が原因でか、ナイチンゲールは年々激減しております。
しかしながら、オリジナル譜が存在する限り
Joseph Lambが我々に残した名曲は不滅です。
この曲はスコット・ジョップリンがしばしば独自の楽曲で提示したように
ゆっくり弾くと最高に生きるラグタイム曲でもあります。
是非、是非、お試しあれ!!!
裕美・ルミィヤンツェヴァ
作成日:03/29 01:05 最終更新日:03/29 01:05
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