懐かしの随筆 『生きた授業』
母が第1次ベビー・ブームの子供であることから、
1972年、第2次ベビー・ブームに生まれた私は、
幼少より日本国の教育制度に不満を抱いていた。
行くところ行くところ人ばかり・・・
学校の教室が足らずにどんどん建てられていくプレハブ校舎に、
立て続く分校建設。
今では考えられないだろうが、
1クラス52名や1学年12クラスなどを体験している。
お蔭で同じ地域の友達とも離れ離れになったり、
クラスが多過ぎて、新設校舎には入れなかったりした。
同世代の人口が多いせいで、競争率が激しいばかりかその意識も強く、
自分の子供を少しでも良い私立の学校に入れようと
塾や習い事に熱心なお母様方。
意地の悪い「ざ〜ます」教育ママが比較的多かった気もする。
子供は子供で、少しでも点数を稼ごうと、
ずるをしたり、いいこぶったり、
人を蹴落として這い上がるそんな姿勢を自ずと覚えてしまった
といわんばかりの有様だった。
学校の授業といえば、先生が黒板に書くことをひたすらコピーするのみ。
聞いていようが、聞いていまいが関係ない。
居眠りをしている者、他の作業をしている者までいた。
先生も先生で、余りに人数が多いので、
一人一人に構っていられないというのが現状だった。
高校ともなれば、学校自体がゼミ化、
偏差値だ、単位だ、平均点だ、合計点だ、
より良い大学に入学しようと人間の価値さえも
皆揃って数値で測ろうとしていた。
私自身、小学校の成績は非常に良く、
「どこの私立でも入れますよ。」と先生に言われたものの
市立の中学校に進んだ。
中学校でもトップ・トップの成績だったが、やはり県立の高校へ・・・
このまま敷かれたレールを当たり前のように走り続け、
大学へ進学するのかと思うと気が気でなかったのが高校時代。
進学・受験、就職、住宅購入から墓場まで、
常に競争せねば自分の場を確保できない時代に生まれた自分は
全く違った物差しで自分を測ってもらいたかった。
そう自覚するやいなや、直ぐに行動に移し、
興味はあったものの語学は全くできなかったが、
一匹狼で世界に羽ばたく決心をした。
「99人がYESと言っても、私は1人でNOと言う。」
勉強する意欲を完全に失っていた私に
新たなるチャンスを与えてくれたのはこの海外生活だった。
色々な異なる国の様々な文化、
肌の色の違いに、宗教や考え方の違い、
「同じでなくてもいいんだよ。」という価値観からスタートする人付き合い。
カルチャー・ショックから始まった波乱万丈な新人生であったが、
夢と希望は止まることを知らず無限大に膨らんだ。
知ることの楽しさと学ぶことの面白さ、
旅をする勇気と与え合うことの喜び、
人の命の尊さと愛情の大切さを肌で感じることができた。
教育とは教え育てることで、決っして詰め込むことではない。
勉強とは勉めて強くなることで、強いて勉めることではない。
少人数制のクラス形式。先生との対話。
クラスメイトとのディスカッション。
それぞれの意見を取り入れたアクティブな授業。
同じ色に染めることなく、一人一人の個性を伸ばしていく教育法。
日記にも書いたJOHNNY APPLESEEDが良い例です。
下記にはクラスメイト一人一人が書いたお話があります。
それぞれが同じ人物を研究し、彼にまつわる文章を書きました。
これぞ生きた英語です。
私達が学校教育の過程で学ばなければならない
いわゆる文法や構文を中心とした受験英語ではありません。
英語を母国語とする子供達が思うままに書き綴った内容です。
http://www.hipark.austin.isd.tenet.edu/projects/se...
表現豊な子もいれば、余り優れない子もいます。
しかし、それで充分なのです。
先生は全員に絵も描かせました。
同じ絵を描く子は一人もいません。
一人一人が感じ取ったJOHNNY APPLESEED像で良いのです。
世界一の自殺大国日本。
経済的ゆとりではなく、もっともっと心のゆとりを与えたい。
この世の中には、「貴方が日頃測られている社会の物差し」以外にも
沢山の異なる物差しがあるのです。
めでたし、めでたし!!!
裕美・ルミィヤンツェヴァ
作成日:05/01 02:05 最終更新日:05/01 02:05
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