検索 トップ 掲示板 お気に入りに追加 このコミュニティに参加 下積み時代に有難う 先日の新宿トラッド・ジャズ・フェスティバルでは 嬉しいお声掛けが沢山御座いました。 そのうちの1つが『昔、よくRED PEPPERで聴いていたよ』 というお客様の一言。 ロシアから日本へやってきたときは人っ子1人知らない状態で、 仕事を取るのがとにかく大変でした。 第1回目のコンサートは青葉台の『フィリア・ホール』開催と 友人・知人、親戚一同でなんとか260名前後集まりましたが、 その後の繋ぎは修羅場も修羅場。 どこへ行っても『あんたら誰???』状態。 それでもめげずにくたばることなく毎日どこかしらで演奏活動を進めた 波乱万丈&地獄の武者修行と言わんばかりの3年間。 ロシアの田舎町で畑を耕していた私には 新品の便箋や封筒さえ購入する余裕はなかった。 せいぜい払えて100通分の切手代、即ち日本までの国際郵便料金。 それでも生活費の大半を持っていかれるような大変な出来事。 いつ買ったのか覚えていないくらいの古い黄ばんだ便箋に 手書きでひたすら自分たちのプロフィールを書き綴って 東京中のクラブやジャズ酒場に送付しました。 PC時代の情報化社会でこんなの絶対にありえないと思いつつ、 私が生きていたのはまだまだ19世紀後半の世界、 もんぺ穿いて井戸水汲んで、畑耕す自給自足の世界、 電話も掃除機もテレビも洗濯機も何もない生活。 ただただこの国を脱出せねばと命懸けで亡命をひたすら追い掛けた そんな愛と葛藤の日々。 飲食店の人たちにどれだけ馬鹿にされたことか、 お店のママにどんなにコケにされたことか、 今だから言える笑い話は沢山御座いますが、 1番最初に顔を見ずして、音源聴かずして、 月に2回のレギューラー公演の仕事をくれたのが 新橋駅前の『RED PEPPER』。 当時マスターには本当にお世話になりました。 グランド・ピアノの調律も頻繁にしてくださいましたし、 宣伝もたっぷりとしてくださいましたし、 『RED PEPPER』というラグタイムの表紙をコピーして お店の壁に貼って我々を心から応援してくださいました。 こういった下積み時代に有難うと言えるのは 熱心にお店に足を運んでくださったお客様が 未だに私たちのことを覚えていてくださるからですね。 決して楽してここまで来たわけではないですが、 そういった優しいお声掛けの一言で気持ちが和むといいますか、 過去の苦しみが消え去っていく瞬間が御座います。 人を繋ぐものとは決してお金だけではない。 想い出や巡り合わせ、気持ちや気遣い、 そういった目には見えない不思議な力だったりするのです。 下積み時代に有難う!!! 裕美・ルミィヤンツェヴァ 作成日:11/22 01:42 Muse運営について |