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プッチーニの評価

同時代の作曲界や批評家はその直感的な分かりやすさ故に、
大衆迎合的なお涙頂戴をプッチーニ作品の性格に見出し、
必ずしも積極的な評価を与えようとはしなかった。
しかし、カラヤン、ショルティ、シノーポリのような老練なオペラ指揮者は、
同時代のヴェリズモ・オペラからの影響力を考慮しつつも、
プッチーニの優れた心理描写や高度に洗練された作曲技法に、
徹底して光を当てることにより、
プッチーニの奥深さや独創性を巧みに浮き彫りにしている。

ドビュッシーがプッチーニ人気を快く思っていなかったのに対し、
ラヴェルはプッチーニがシェーンベルクに理解がある
との事実だけをもってしても、
十分評価に値する芸術家であると見なし、
自国の同僚たちのむやみなプッチーニ非難をこそ不快であると感じていた。

実際にプッチーニはシェーンベルクの
『月に憑かれたピエロ』を熱心に研究し、
実際の演奏にも触れ、これを傑作と呼んでいた。
『トゥーランドット』にはしばしば群集や
タイトル・ロールの異常心理を強調するのに、
調性感の薄いパッセージが多用されており、
それらにシェーンベルク研究の痕跡を認める研究者は少なくない。

一方でシェーンベルクの側も
プッチーニを20世紀の重要なオペラ作曲家の1人に数えており、
そればかりかプッチーニのオペラに対する尊敬や愛着を認めていた。
シェーンベルクによるバッハ作品や
ブラームス作品のオーケストラ用編曲には音色感覚に於いて、
プッチーニの色彩的なオーケストレーションとの親近性が感じられる。

反対勢力が強い程、味方も多いもの。
これぞこの世の七不思議!!!
めでたし、めでたし!!!

裕美・ルミィヤンツェヴァ
作成日:01/29 20:58
2件のコメント
全て  1
そろり
なるほど、勉強になりました!ありがとうございます。

by そろり
01/29 21:22
Shigeru Kan-no
ワーグナーに対するR・シュトラウスと同じく、ヴェルディに対するプッチーニでしょう。ドイツとイタリア・オペラの双頭の大黒柱ですね。
01/29 22:44
  1

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