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ユーモアの精神
hiro
合唱団の練習時に、かぎられた時間のわく内で、練習の効果をあげようとするときに、冷静でいられる指揮者は少ない。与えられた時間はたいていの場合、指揮者の側から言う時、極度に不足したものに感じられる。したがって、指揮者は、本来おとなしい性格であるか、激しい性格であるかを問わず、たえずイライラさせられるものである。団員の技量の不足や、集中した注意力が持続しない事や、その他、もろもろのことが、暗雲のように、指揮者の上におおいかぶさってくるかのように感じられる。同じ暗雲は、団員の上にもかかっているのだが、未熟な若い指揮者にとっては、まるで、団員が結託して、無能なふりをしているように思えてくる。
このような時に、事態を救うのは、ユーモアの精神である。ごくわずかのユーモラスな発言が、一同の上にかぶさっている暗雲の重圧を瞬時にして吹き払ってしまうものである。
しかし、ユーモアの精神は、誰にでもあるというものではない。ある種のかたい性格の人のユーモアとは、皮肉でしかないことが多い。皮肉は、一見ユーモアのようであるが、それを理解できない人にとっては、逆に鋭い針でしかない。
音楽の修業というものは、実にきびしいものであって、それがたとえ、たんなるレクリエーションのためのただ声を出せばよいというような、気楽なやり方であっても、ほんの少しでも、より美しくという意識がはたらくと、とたんに、物事は、芸術と、音楽美学とに関連してくる。こういう言い方は、飛躍的にきこえるかもしれないが、音楽とは、実にこうした大げさな言い方でもおかしくないほど、それにかかわる者に、きびしさを要求してくる。面倒な代物なのである。ましてや、優秀な合唱団のように、それが<芸術の追求の場>であったりすれば、<音楽は楽しい>ものどころか、苦業の連続になってしまう。
したがって、その苦しい作業の中で、いっそうイライラしている指揮者にとって、解毒剤の役目をはたすユーモアの精神があるかないかは、ほとんど、その指揮者の職業的生命にかかってくる、とさえ言える。
非常口の悪い、言葉づかいの乱暴な指揮者が、いっこうに憎まれもせず、着々と能率を上げているかと思えば、反対に、礼儀正しい、おとなしくて真面目な指揮者が、半年も支持されないで、やめてゆくということもある。すべて、本人にユーモアの精神があるかどうかにかかわっている。
ユーモアの精神が養われるものかどうか、ここで心理学的に究明するわけにはゆかないが、ほとんど、その人の生来の性格であろうと言って、間違いないだろう。ユーモアの精神のまったくない人は、指揮者であることに希望を持たないほうがよいし、少しでもユーモアを解する人であれば、その有効な利用法について、指揮者を勉強するのと同じくらいの時間をかけて、研究してもよいと思う。名指揮者といわれた人たちは、たいてい<シャレ>の名人であったし、事実、ダジャレだけで数十年間合唱指揮者をやってきた人もいるのである。
合唱団を、ユーモアでつつんだ鋭い針でつきさすくらい、練習の効果をあげる方法はない。音楽性よりも、知識よりも、指揮技術よりも、指揮者にとって不可欠なのは、ユーモアの精神である。
作成日:01/09 22:58
16件のコメント
全て  1
hiro
どこからの引用かわかりませんけど・・・

面白かったので紹介します!
01/09 22:59

西宮で第九を歌ったことがありますが、畑儀文先生のご指導は素晴らしかったです。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%95%91%E5%84%80%E6...

基礎的なテクニックも、音楽そのものも教えて頂けたし、ここで hiro さんが取り上げた「ユーモアの精神」が、たっぷりでした〜。

皆さん朝起きたらお化粧されるでしょう?なぜですか?目鼻立ちをはっきりさせて、美しく見せるためでしょう?歌にもちゃんとお化粧して、メリハリつけてねー。頑張ってねー。

そこ、みなさん乗り遅れてるねぇ。ちゃんと準備しといてねー。ムーヴィングウォーク(全国的にこう呼ぶのでしょうか・・・?関西ではこう呼びます)に上手に乗れるように、3m前から用意しといてよー。いくよー。

など。
毎回の練習が、とーっても楽しかったです。

逆に、偉そうに「俺はプロなんだ」的空気を発散する方は人気なかったですし、成果も上がりませんでした。
01/10 19:10
hiro
色んな例えをもちいて練習するネタもっとかないとだめですよね・・・笑
01/10 20:33
Shigeru Kan-no
合唱は指揮者がどうすべきか良く格好で例を示すので笑わせやすいです。

飽きない指揮者、良いですねえ。妥協を排していつもなんか言ってくれる指揮者が良いです。
01/11 18:38
hiro
♪Shigeru Kan-no さん♪

バーンスタイン氏などは
どんな指揮や指導をされてたんでしょうね・・?
ウェスト・サイド・ストーリーのメイキングは
映像でみた事があるんですが
時間に束縛されてとても悔しいまれてるところだとか
理想にたいする向上心はすさまじいものでした。
01/11 21:04
Shigeru Kan-no
彼は合唱指揮者ではないので合唱は専門の指揮者に任せていました。普通のプローべはアホばっかやっていました。一回ジャージー姿のランニングでほんとに走ってウィーンフィルの練習に来た事がありましたね。誰だろうと思ったら、すぐ指揮棒を取って始めたので彼でした。彼はユーモアはでも普通かな?音楽そのものが面白い人でした。

面白いといえばノンリントンです。あの人ほんとに「百”何”小節から」というのでどこをやって良いかわからんのですよ。クルト?クルト―、クルトヴェングラー!クルト・マズアとかいっても笑わせていましたねえ。

リリングは典型的な合唱指揮者。お笑いは洒落程度でしょう。趣味が良すぎてゲラゲラとは行かなかったです。あの人ヴォイス・トレーニングできないので笑う場面が余り無かったなあ!
01/12 05:55
hiro
♪Shigeru Kan-noさん♪

うわぁ・・・楽しそう。。

巨匠だからできるジャージ姿。。最高だぁ。

ノンリントンのユーモア、面白いけど
日本人にも合うかな・・・やはりその人の人格で
何言っても面白いがあるんでしょうね・・・

僕リリングの音楽、多くは聴いてませんけど
清潔感があるような感じがして
彼の音楽スキデス。
でもボイストレーニングができなかったら
どうしてあのような音楽を作っていけたんだろう。


笑顔のない練習は時にとても疲れますよね・・。
01/12 18:31
Shigeru Kan-no
イギリス人の指揮者は総じて人を笑わせるのが上手いです。ラットルなんかも意外と冗談言ってるようですよ。ガーデイナーもかなり面白かったですね。意外と真面目なのがマリナーかな?一番気難しいのがC・Davisでした。一回彼と向かって話した事があるのですが、あの巨体でちっとも笑わないでいつも深刻な顔をしています。WIENフィルやLSOの練習ではまだ楽員を笑わせたところを見た事はないです。

彼はアマでもボイストレーニングしません。しなくともプロのようなアマが集まってくるせいかもしれませんが、と言うのはあそこのアマは一回の練習3時間でカンタータ一曲うぃ十分仕上げられるのです。翌日本番なのですが、まず問題はありませんね。Stuttgartのアマってとても恐いのですが、『私「クリスマス・オラトリオ」や「マタイ受難曲」もう二十回歌ったわー』、とう連中ばっかりなのです。200曲あるカンタータもまずは一回ぐらいどこかでやった事があるようです。困りますねえ!(笑)
01/12 18:45
hiro
♪Shigeru Kan-noさん♪

イギリスの指揮者はsirの上に面白い
最高ですね。さすがです!

かなり世界が把握できていないですね・・・
それだったらボイストレーニングはいらないですね!
プロアマの違いが分からなくなりそうです。。

カナリの刺激です!!
世界中で歌う事の好きな人が本当にたくさんおられるんだ!って言う事が良く分かりました!


僕も二十回以上歌えるチャンスがほしいです!

アマの人たちはどのようにして
自分の練習をされてるんですか?
もちろん他の仕事もしておられるんですよね??
01/13 08:45
Shigeru Kan-no
ここもそうだけどStuttgartのアマの人も仕事を持っています。しかし日本とちがって残業などはないので夜は自由に使えます。発声の良い一番の原因は教会でしょう。文字どおり石で作られているので賛美歌の発声が自然と柔らかくはもるようになります。

20回歌ったという事は彼女は普通は少なくとも20年間Stuttgartに住んでいた事になります。毎年一回ですが、もちろんこういう合唱好きの方は他の機会には他の作品も掛け持ちで歌っています。受難曲とかミサです。同じくらい20回ぐらい歌っているのではないでしょうか?勿論普段の日曜日は教会でカンタータ歌っています。こちらではこういう合唱団は自由参加なのですね。僕もやった事ありますがいきなり練習に行って「歌わせてくれ」と指揮者に言えばOKで、それでいいです。団費も参加料も要らないです。だからいくらでも掛け持ちが可能なのですね。
01/13 19:11
hiro
♪Shigeru Kan-noさん♪

響く教会って日本は少ないですよね。。。
日本でも自由に参加できる
そんな環境が作れたらいいのに。。

やはり個々の宗教観念とそれぞれの合唱団がもってる、そこの個性というかカラーに合わなければ受け入れてもらえないという小さなプライドみたいなのがあるからなのでしょうかね・・・。
01/13 20:20

(すみません、おじゃまします…)Kan-noさんのコメント、思わずうなってしまいました。

>…アマの人も仕事を…しかし日本とちがって残業などはないので夜は自由に・・・
>発声の良い一番の原因は教会…文字どおり石で作られているので・・・

>20回歌ったという事は彼女は普通は少なくとも20年間Stuttgartに住んでいた・・・
>いきなり練習に行って「歌わせてくれ」と指揮者に言えばOKで…団費も参加料も要らない・・・

うーん、やっぱり日本(少なくとも東京近辺)と全く違いますね。15年くらい前渡独した時連中が「Quality of Life」なんて言葉使ってましたが、ドイツではまだまだ保たれているんですね…。(一方私の周りは慌しい…、それはともかく・・・)
あらためて音楽に触れる機会とか、ちょっとした「質」のGapを感じてしまいますね。(ちょっとため息)
01/14 01:50
hiro
♪ひこうせんさん♪

うらやましい限りですよね。。。
01/14 22:59
Shigeru Kan-no
教会で歌うのは信仰の証のようですよ。

ドイツでしょっちゅう歌う機会があるのはここの習慣ですね。昨日もケルンからのコンサートの帰り電車の中でサッカー帰りのファンが大声をあげて複数の合唱で歌っていましたが、煩いの何のて!こういうのは車掌も止めないようです。フランスでは凄く嫌われるようですが。

カラオケなども少しはあるようですがすぐ飽きるのでほとんどはやらないようです。合唱となると誰でも歌えるし普通のアマチュア合唱団でも100年以上の歴史はどこでもあるので盛んですね。教会では普通はアマですが専属の合唱団もあります。それも大人・青少年・子供と分かれていて複数あるのですね。更にポザウネン・コアなども専属のオルガニストのほかにあります。教会音楽家はその他にコーラスとポザウネン・コアは別々な場合が多いです。従ってこれも複数いますね。
01/15 02:07
hiro
♪Shigeru Kan-noさん♪

ポザウネン・コアってなんですか??
あと、教会それそれの聖歌隊や合唱団の指導者というか指揮者は専門家なんでしょうか。。。
01/15 22:20
matter
hiroさん。凄いところからの引用ですね。
絶版になっているようで書店や楽譜店では見られなくなりました。

そうなんですよねー。ユ〜モア。これ結構難しいです。どうやって下ネタにいかないか必死でこらえなくては。
05/02 23:56
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